『かくしごと』の完成披露舞台挨拶が5月7日（火）に都内で行われ、杏、中須翔真、佐津川愛美、安藤政信、奥田瑛二、関根光才監督が登壇した。

関根光才の長編第2作となる本作は、杏を主演に迎えた、子を守る母親の強烈な愛と嘘の物語。原作は「ミステリー作家が描く感動小説」として評価も高い、北國浩二の「噓」（PHP文芸文庫）。主人公・千紗子役に、ドラマ、映画、モデルと幅広く活躍する俳優・杏。「今の自分だからこそ演じることができる」と、その深い母性を芝居を超えて体現し、鮮やかに観る者の心に焼き付ける。父・孝蔵役には奥田瑛二。認知症を患い、娘のことすら忘れ、日に日に別人のように衰えてゆく姿を、静かながら胸に迫る演技で圧倒する。少年役に中須翔真、さらに佐津川愛美、酒向 芳、安藤政信といった実力派俳優が脇を固める。人の目も社会も関係なく、子への揺るがない愛を貫き通す千紗子の深く激しい母性をあなたは受け入れることができるか─。心揺さぶるヒューマン・ミステリーが誕生した。

「大人になってからも少し年月を重ねた今だからできるのかなと思った」という杏は「涙もろくなったり、悲しいニュースだったり、子供が巻き込まれることにたいきてどうしようもないいかりとかかなしみをおぼえるようになってきて、それを思い切り体現できるのがこの映画」と本作への印象を語った。中須との共演については「現場では台本を渡されずにその場で監督から説明を受けてフレッシュなものを出し続けていたので、私は受けるだけで自分のお芝居が変わっていくというのが貴重な体験」と振り返った。

杏や奥田との共演について「お二人とも優しくていろいろ教えてもらった」という中須は「緊張していたんですけど話しやすい雰囲気を作ってくださったので感謝しています」とコメント。杏は「こんなに無垢な存在が画面の中にいるんだと楽しんでいただければ」と語った。

奥田は、中須について「声をかけたくなってしまう」といい、すごいい子で素直」と称賛した。また奥田について杏は、撮影時との服装などの雰囲気の違いから「初めて奥田さんに会ったという感じがしました」と笑いを誘った。

本作を鑑賞して「一言で言うと打ちのめされる感覚」と答えた杏は「彼（中須）の演技もそうですし、観た後に自分だったらそれそれの立場に立ってみてどうするのか」と話し、「人の倫理観は時代とか国によって真逆になったりするので、今の自分の感覚や常識が正しいかは分からない。目の前にか弱き存在がいた時に何をしますか、何ができますとかというのをエンターテインメントを通してぐさっと胸に刺さる作品」と本作への思いを語った。

イベントの終盤では、まもなく母の日ということで、中須から杏にカーネーションの花束をプレゼント。杏は「映画を観るとダブルの意味で泣けてきます」と感慨深げな様子だった。最後に杏は「誰かと話したい作品になっています。いろんな方と感想を共有していただければ幸いです」とメッセージを送った。

【写真・文／編集部】

『かくしごと』は2024年6月7日（金）よりTOHOシネマズ日比谷、テアトル新宿ほか全国で公開
脚本・監督：関根光才
出演：杏
　中須翔真、佐津川愛美、酒向芳
　木竜麻生、和田聰宏、丸山智己、河井青葉
　安藤政信／奥田瑛二
配給：ハピネットファントム・スタジオ
©2024「かくしごと」製作委員会