公開20周年を記念して4Kで鮮やかに蘇る『オペラ座の怪人 4Kデジタルリマスター』の本編特別映像が解禁された。
刺激と絢爛、情熱の時代であった19世紀パリ・オペラ座では仮面をつけた謎の怪人・ファントムの仕業とされる奇怪な事件が続いていた。ファントムは若く美しいオペラ歌手クリスティーヌに才能を見出し、彼女に音楽の手ほどきをし、クリスティーヌはファントムを“音楽の天使”と信じてプリマドンナへと成長する。幼馴染の青年貴族ラウルに愛されながらも、孤独な魂と情熱を持ったファントムに心を惹かれていくが、ある日ファントムの仮面の下に隠された秘密を知ってしまう。一方怪事件が続くオペラ座では、ファントムを捕まえようとラウルたちが立ち上がる——。
今回、「エンジェル・オブ・ミュージック」(Angel of Music)を歌い上げながらファントムがクリスティーヌを隠れ家へ誘い込む本編特別映像が解禁された。『オペラ座の怪人』は35mmフィルムで撮影された時代に製作された、最後の大規模予算映画の一つ。公開当時も、色鮮やかで煌びやかな色彩が話題だったが、さらにその魅力を際立たせるため、撮影当時にはまだ存在しなかった新技術を使って2017年にはこのデジタルリマスタープロジェクトがスタートしたという。主なプロセスとしては、オリジナルのインターネガ(プリント用フィルム)を4Kでスキャン、オリジナル版の撮影監督であるジョン・マシソンの監修のもと、映像の階調と色調を整えるために全編を再グレーディング。ジョエル・シュマッカー監督が目指した、19世紀のパリの文化が最新のデジタル技術によって改めて鮮明に浮き上がることに成功した。
ジョン・マシソン曰く「4K作業で最も注力したのは、パリ・オペラ座の地下洞窟に住むファントムの隠れ家のシーン」。太陽の光が差さない一見薄暗い洞窟だが、そこには、ファントムの芸術性、美意識を映し出す<彼の宝物全て>がたっぷり詰まった魅力的な空間であり、その空間を今だからこそできる技術で最大限に表現するため「新しいグレーディング技術を使い、隠れ家の影のディテールを見事に甦らせることが必要だった」と明かす。
撮影当時、この特殊なセットはCGなどではなく、ロンドンのパインウッドスタジオで天井まで完全に作られたものだったそう。そのため洞窟の構造上、全ての作業が水の中で行われたが、撮影時ジョンはセットの水浸しの部分を利用、隠れ家の天井に照明を反射させていた。そのためオリジナルでは、こうした微妙な光のグラデーションがやや失われていたが「デジタルで全体をグレーディングすることで、画質を大幅に向上させ、本来の照明の意図を実現することができた」そしてそれは「ファントムにとってエキサイティングな進歩だった」とコメントしている。
解禁された映像は、ジョン・マシソンが「もっとも注力した」と言及した、ファントムの隠れ家である洞窟が映し出されたシーン。ファントムが愛するクリスティーヌを初めて自分の隠れ家に<招待>するシーンだが、ボートが進むと同時に次々と水面下から蝋燭が現れ、暗かった洞窟に少しずつ灯りが灯されてやがて天井に反射していく神秘的でロマンチックな様子が捉えられたものとなっている。
本編特別映像
『オペラ座の怪人 4Kデジタルリマスター』は2024年6月14日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開
監督:ジョエル・シュマッカー
出演:ジェラルド・バトラー、エミー・ロッサム、パトリック・ウィルソン
© 2004 The Scion Films Phantom Production Partnership