原作:吉田修一×監督・脚本:大森立嗣のタッグが贈る映画『湖の女たち』の主要キャスト陣と大森立嗣監督のインタビュー映像が解禁された。
全編にわたって観る者の理性と感性を激しく揺さぶり、比類なき衝撃的な映画体験をもたらすヒューマン・ミステリーである本作。介護施設での殺害事件を発端に、想像もつかない方向へとうねり出す物語は、重層的な構造と壮大なスケール感で観る者を圧倒する。事件が混迷を極めるなかで、身も心も剥き出しでさらけ出す難役に挑んだのは、刑事・濱中圭介役を演じた福士蒼汰と、事件が起きた施設の介護士・豊田佳代役を演じた松本まりか。圭介と佳代は、支配する者と支配される者の危うい関係を深めていき、密会を重ねてゆく。一心不乱に互いを求めて貪り合うその姿は、闇夜の湖畔で艶めかしい“生”の輝きを放つ。登場人物の弱さと切なさ、愚かさと愛おしさ、汚れとイノセンスの両面をまっすぐに見据えたその描写は、あらゆる観客に人間という存在の本質を問いかけるかのよう。
社会通念を逸脱した難役に挑んだ福士蒼汰×松本まりか。インタビューでは、圭介と佳代の関係について聞かれると「圭介は終わらそうとするのに、佳代は続けようとするところが罪深い」と福士、松本は「性の快感を得ることって、悪いことのように感じてしまう」とそれぞれが演じた役を振り返り、「湖の女たち」で描かれたアンモラルな関係の魅力を探る。撮影現場では、あえて話さなかったという2人だが、このインタビューで「お互いが同じ役作りの手法を取っていた」ということに納得し、松本は福士に対して「極限状態にしてくれたことが、いろんなことを(超える)突破口になった」と、感謝の気持ちを示した。
そして、話題は湖で行われたクライマックスシーンへ。当初予定していたスケジュールが悪天候のために中断され、翌日に持ち越しとなった撮影について大森監督が話し始めると、湖に浮かぶボートの上に立ちすくむ圭介の緊迫したメイキングシーンが映し出される。このシーンについて「蒼汰がまりかのこと、バーンと湖に投げたんですよ。あ!と思って」とジェスチャーを交えながら大森が暴露。すると、福士、松本もつられて笑いだすが、そこに差し込まれた本編映像は手錠をかけられた佳代がボートの上でずぶ濡れのまま乱れる激しいシーンとなっており、笑い事ではすまない最重要シーンということがわかる。「深い信頼があったからできるんだろう」とキャストに全幅の信頼を寄せる大森、そしてW主演を張った福士と松本のクライマックスで「心が一つになった瞬間だった」という言葉に、大森組が作り上げた作品への自信がうかがえる。
その他、週刊誌記者を演じた福地桃子に対し、監督がオーディションでかけた衝撃の一言、そして、介護士・松本を演じた財前直見の起用のきっかけや、財前自身が語る本作の魅力についてなどが、たっぷりと収録されている。最後に5人が思う「湖の女たち」とは、が語られる。福地の「共感できる部分」とは。財前の「露わにしたくない部分も、湖が全て受けてくれる」という思い、松本の「私が居たい場所はここだ。と全細胞が思った」という真意、そして、福士が思う「堆積」とは?大森監督が作品に込めた「世界は美しいのか、僕たちが生きるに値する場所なのか、ということを考えるきっかけになったら。」というそれぞれの思いが溢れるインタビューとなっている。
インタビュー映像
『湖の女たち』は全国で公開中
監督・脚本:大森立嗣
出演:福士蒼汰、松本まりか
福地桃子、近藤芳正、平田満、根岸季衣、菅原大吉
土屋希乃、北香那、大後寿々花、川面千晶、呉城久美、穂志もえか、奥野瑛太
吉岡睦雄、信太昌之、鈴木晋介、長尾卓磨、伊藤佳範、岡本智礼、泉拓磨、荒巻全紀
財前直見/三田佳子
浅野忠信
配給:東京テアトル、ヨアケ
©2024 映画「湖の女たち」製作委員会