『違国日記』の公開記念舞台挨拶が6月8日(土)にTOHOシネマズ日比谷で行われ、新垣結衣、早瀬憩、瀬戸康史、瀬田なつき監督が登壇した。

人見知りな小説家の高代槙生と、その姪・田汲朝の対照的な2人の同居譚。なかなか理解し合えない寂しさを抱えながらも、丁寧に日々を重ね生活を育むうちに家族とも異なった、かけがえのない関係になっていく。今、世界が必要としている、優しさの形を提示するヒューマンドラマ。原作は、「さんかく窓の外側は夜」など多くの人気作を生み出したヤマシタトモコの同名漫画。主人公・高代槙生を演じるのは新垣結衣。新垣とW主演で田汲朝を演じるのはオーディションで選ばれた新人・早瀬憩。さらに槙生の友人・醍醐奈々役には夏帆、槙生の元恋人・笠町信吾役には瀬戸康史、朝の親友・楢えみり役には小宮山莉渚が扮する。メガホンをとるのは瀬田なつき。

前日の6月7日(金)に公開初日を迎えた本作。W主演を務めた新垣は「どんな風に受け取っていただけるんだろうと、ワクワクと不安が入り混じる感じだったんですけど、今日はホッとしていて、ちょっとふわふわしています(笑)」、早瀬は「撮影から1年経って映画を見ていただけていることがうれしいです」、そんな2人を見守る役柄の瀬戸は「お二人が醸し出す空気感が大好きで印象に残る撮影期間になりました」と挨拶した。

本作への反響を受けて、新垣は「『私でいいのだろうか』と思っていましたし、撮影が終わってからも『大丈夫だったかな』と思っていたので、みなさんから温かいお言葉をいただけることがうれしいです」と安堵の表情を浮かべ、早瀬も「実際に映画を観ていただいたみなさまから私と思っていることが同じ、『心が救われる』と言ってくださっていて、原作と同じ空気感の映画に出来たのはすごいよかった。『心が救われた』と優しい、温かいコメントをいただけることがうれしいです」と笑顔を見せた。

この日も和やかなムードの中で行われた舞台挨拶だが、ピリピリした雰囲気にしたくないという瀬田監督の思いが込められた撮影現場について、新垣は「みんなでゆったりとした日々を過ごしていました。その空気感が本編の中にもにじみ出ているんじゃないかと思います」と振り返った。

それぞれのキャラクターが魅力的に描かれている本作だが、瀬戸について「もっと出て欲しいというくらい」と話す新垣は「笠町くんのキャラクターが瀬戸くんのお芝居の体からにじみ出ている」と称賛。その笠町を演じた瀬戸は「原作とは違いますよね。でも監督が僕を選んでくれた理由を…。なんで僕なんでしたっけ?」と質問すると、瀬田監督は「安心感があるというか。衣装を着て並んだ時にかさまちとまきおだ」と感じたと言い、瀬戸は「生身の人間が演じるというのはこういうことだと演じていた」という。

また、「朝ちゃんの成長を軸に描いているので、憩ちゃんが魅力的で」という新垣は「バンドのシーン」が特におすすめだという。このシーンについて早瀬は「朝の歌の歌詞が本当に素的なので注目していただきたい」といい、また「何気ないところですけど、『いってきます』、『いってらっしゃい』のやり取りが数回出てくるんですけど、最初と最後では全然違う」と注目ポイントを挙げた。

舞台挨拶では、6月11日に36歳の誕生日を迎える新垣、6月6日に17歳の誕生日を迎えた早瀬にサプライズでバースデーケーキが用意された。「すごーい!」と喜ぶ早瀬は「大きいし顔がついています!まさかお祝いしていただけるなんて思っていなかったのでうれしいです」と笑顔を見せた。

さらに今回、初めて映画で主演を務め、プロモーションに参加した早瀬から、共にW主演を務めた新垣に感謝の気持ちを込めた手紙が披露された。手紙を読む前にすでに「もう泣きそう」という新垣。早瀬からは「これから会う機会が少なくなると思うと寂しいです。いつも寄り添ってくれた槙生ちゃん、結衣さんから巣立っていかないといけないんだという気持ちです」「結衣さんは憧れであり目標です。結衣さんの出演作品の一つに私も出演できたことが誇りです」「(新垣は)そのままでいいよと言ってくれます。自身のない私にとって心強く、優しく背中をさすってくれる言葉です。これからもそのままの自分でお芝居を続けていきます」「優しくて穏やかで意外とお茶目な結衣さんが大好きです」とメッセージが込められた。

この手紙に涙がこぼれた新垣と早瀬に、スッとハンカチを渡した瀬戸に「スマート…笠町くんみたい」と驚く新垣は「我慢できませんでしたね」と言葉を振り絞り、「私自身も槙生でいいのだろうかと不安だったので、憩ちゃんが隣で頑張っているのを見ると自分もがんばらないととか、できることがあるならしたいと力をもらっていたし。話すといつも褒めてくれるんです。『結衣さんが槙生でよかった』と言ってくれて、それが支えになっていて」と振り返った。

最後に早瀬は「大切な出会いだったり、大切な作品になりました。映画の感想を共有していただいて、一人でも多くの方にこの作品を届けられたらうれしいです」、新垣は「(劇中の台詞で)『私たちは違う人間だからわかり合うことはできない』というのはそうだなと思っています。それでも寄り添うことができるというのをこの映画ではメッセージの一つとしてお伝えしています。私たちは違う人間なので感じ方も様々かと思います。グッと来たところとか、印象に残ったところとか、分からないところとか、みんな違うと思います。それも全部正しいというか、あっていいことだと思います。いろんなことを感じながら、一つの作品を見ながら同じ時間を過ごせることは素敵なことなのかもなと今改めて思いました。今日この日を迎えられてありがたく、うれしく思っています」とメッセージを送った。

【写真・文/編集部】

『違国日記』は2024年6月7日(金)より全国で公開
脚本・監督:瀬田なつき
出演:新垣結衣、早瀬憩
夏帆、小宮山莉渚、中村優子、伊礼姫奈、滝澤エリカ
染谷将太、銀粉蝶、瀬戸康史
配給:東京テアトル、ショウゲート
©2024 ヤマシタトモコ・祥伝社/「違国日記」製作委員会