『きみの色』がフランス・アヌシーで開催されたアヌシー国際アニメーション映画祭2024において、6月13日[現地時間]にプレミア上映された。
興行収入19億円の大ヒットとなり、社会現象を巻き起こした『映画けいおん!』(2011)、第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞のほか、2017年アヌシー国際アニメーション映画祭長編コンペティション部門に入選するなど国内外問わず高い評価を受け、23億円のヒットを記録した『映画 聲の形』(2016)の山田尚子監督最新作となる完全オリジナル長編アニメーション映画『きみの色』。脚本を務めるのは、スタジオジブリや京都アニメーションの数々の大ヒット作品を手掛け、山田監督とは「けいおん!」シリーズ以降、幾度となくタッグを組む吉田玲子。音楽を担当するのは牛尾憲輔。主演声優に日暮トツ子役・鈴川紗由、作永きみ役・髙石あかり、影平ルイ役・木戸大聖の3人、そして3人を導くシスター日吉子役を新垣結衣が務める。
世界最大規模のアニメーション映画祭として知られるアヌシー国際アニメーション映画祭。今年は6月9日~15日[現地時間]に開催され、世界108を超える国と地域から3400本の応募があり、その中から113本の映画が出品。長編コンペティション部門には、その内、全12タイトルがノミネートされている。山田監督にとって本作は3度目の長編部門への出品となった。
今回用意された949席のメイン会場のチケットは即完売。追加で補助席が使用され超満員となった。アヌシー映画祭では、上映前のステージへ作品の期待を込めて紙飛行機を飛ばすのが恒例だが、本作でもたくさんの紙飛行機が飛ばされていた。
上映の前に山田監督が舞台へ登壇すると、客席は大興奮し、異例のスタンディングオベーションでお出迎え。監督は「ただいま、アヌシー!私のバンドへの思い出と憧れがたくさん詰まった作品です。音楽は素晴らしいということと、人を大切に思う気持ちは素晴らしいということを伝えたいです。」と語り、山田監督の最新作を待ちわびていた観客の期待はふくらむばかり。興奮冷めやらぬまま上映がスタートした。
上映が始まると、たくさんの笑いが何度も起こったり、登場人物の感情の揺らぎに固唾をのんだりと、会場中がスクリーンに没頭していた。さらに今作の最大の魅力である音楽シーンでは、リズムに合わせて会場全体で手拍子が打たれ、900を超える観客のボルテージは最高潮に。エンドロールに入ると再びスタンディングオベーションが。入場の時以上の割れんばかりの歓声と拍手に最初は安堵の表情を浮かべた山田監督だったが、鳴り止まないその拍手に後押しされるかのように満面の笑みがあふれた。監督が紡いだ少女たちの自立、葛藤、恋の模様を描いた物語は、遠くフランスの地でも観客を魅了した。まさに大盛況のワールドプレミアとなった。
上映を終え、山田監督は「胸がいっぱいで、言葉が出てこないです。観客の皆さんが、すごく楽しんでくださっているのが伝わってきて、誇らしい気持ちになりました。次につながるパワーになりますね。スタッフのみんなで一緒に来てみんなにこの景色を見せてあげたかったです」と感無量の表情で語った。
本上映で映画を観た観客からは「とても素晴らしい作品。アニメーションはもちろん、色彩が素晴らしかった。色についての作品だが、きちんと色から感情が伝わってくる、大好きな作品だった。」、「映画祭の中で特に好きな作品!観ていてとても楽しかったし、音楽もキャラクターもすっと入ってきて、最高の体験だった。」「すごくアメージングだった。歌も好きだったし、観客全員が一緒になって楽しんで笑って、とても温かい気持ちになった」と絶賛の嵐。
その後に行われたサイン会では、多くの人が押しかけ300人を越える長蛇の列が。過去作のコンテ集を持ってきた青年がいたり、お年寄りの夫婦が熱心に話しかけたりと、現地での山田監督への関心度は非常に高い。監督本人も言葉の壁を越え笑顔や身振り手振りで応えるなど現地のファンとのコミュニケーションを楽しんでいた。サイン会は予定の時間を大幅に越えることとなった。
【提供写真、オフィシャルレポート】
『きみの色』は2024年8月30日(金)より全国で公開
監督:山田尚子
声の出演:鈴川紗由、髙石あかり、木戸大聖、やす子、悠木碧、寿美菜子、戸田恵子、新垣結衣
配給:東宝
©2024「きみの色」製作委員会