『きみの色』が第26回上海国際映画祭金爵賞アニメーション部門に出品され、金爵賞アニメーション最優秀作品賞を受賞した。

興行収入19億円の大ヒットとなり、社会現象を巻き起こした『映画けいおん!』(2011)、第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞のほか、2017年アヌシー国際アニメーション映画祭長編コンペティション部門に入選するなど国内外問わず高い評価を受け、23億円のヒットを記録した『映画 聲の形』(2016)の山田尚子監督最新作となる完全オリジナル長編アニメーション映画『きみの色』。脚本を務めるのは、スタジオジブリや京都アニメーションの数々の大ヒット作品を手掛け、山田監督とは「けいおん!」シリーズ以降、幾度となくタッグを組む吉田玲子。音楽を担当するのは牛尾憲輔。主演声優に日暮トツ子役・鈴川紗由、作永きみ役・髙石あかり、影平ルイ役・木戸大聖の3人、そして3人を導くシスター日吉子役を新垣結衣が務める。

6月14日(金)[現地時間]より開催している上海国際映画祭において金爵賞アニメーション部門に出品された山田尚子監督『きみの色』。6月22日(土)[現地時間]にレッドカーペットイベントと授賞発表が行われ、アニメーション最優秀作品賞にあたる金爵賞アニメーション最優秀作品賞を受賞した。金爵賞アニメーション部門の最優秀作品賞の受賞は、日本作品では湯浅政明監督の『きみと、波にのれたら』(2019年受賞)に続き、5年ぶりの快挙となった。

1993年から始まり、今年で26回を迎える上海国際映画祭では、中国で唯一、国際映画製作者連盟公認の映画祭として、映画文化の普及と映画産業の発展を目的に、毎年10日間の会期中に国内外の約500作品が上映されている。日本映画が多く選出される映画祭としても知られ、日本特集や特別上映会などが人気を博しているのも特徴だ。山田監督にとって初の上海国際映画祭出品となった本作は、19日(火)[現地時間]にプレミア上映が行われ、チケット発売後、即日完売となる人気ぶり。

上映中の場内では、キャラクターの掛け合いに笑いが起こり、劇中曲に体を揺らしながら音楽を楽しむ観客たちも多く見受けられ、異例の大盛況となった。上映後の舞台挨拶では、満席の会場からの大歓声を受けて、山田尚子監督と川村元気プロデューサーが登場。山田監督が「ダージャハオ、ウォシーシャンティエン シャンズー(こんにちは、山田尚子です)」と挨拶をすると、大きな歓声があがる大歓迎ぶり。MCから、本作でのチャレンジについて聞かれると川村プロデューサーは「繊細な音をどのように映画で表現するのか、映画館で観てほしい映画を創りたいと一緒に取り組んできました」と回答。

さらに「ちなみに、『水金土火木土天アーメン』って、皆さん言えますか?」と観客に問いかけると、会場からは日本語で『水金土火木土天アーメン』とコール&レスポンスが行われる盛り上がりをみせた。山田監督は、本作にとっての音楽について聞かれると、少し考えながら「かっこいいことをいうと、音楽は心臓の鼓動だと思っているので、作品を通して鼓動を表現していきたい」と真摯にコメント。まるでライブ会場のような熱気を帯びた舞台挨拶となった。

上映を終え映画を観た観客からも「この映画を観て、とても励まされた。」「これまで見てきたすべてのバンドものとはまったく異なる、新鮮な気持ちになった。」「勇気をもらった。」「何回も観に来る予定。監督は僕らの青春の物語を描いているような気がした。」といった絶賛のコメントが寄せられていた。

6月22日(土)夜[現地時間]に行われた授賞式では、レッドカーペットイベントに登場した山田監督は国際映画祭ならではの盛り上がりに緊張の面持ちながらも笑顔を見せ、「よくテレビで見るやつだなって思いました。頭が真っ白で、変な感じです」と感想を述べた。そして同会場で授賞式が始まり、金爵賞アニメーション最優秀作品賞で「きみの色」がコールされ、歴史的快挙の瞬間となった。

客席に座っていた山田監督は何が起こったのかもわからないといった様子だが、スタッフより受賞したことを知らされ、驚きと歓喜の表情を見せた。MCに促されゆっくりと壇上に向かう山田監督に向けて、会場からは大きな拍手で彼女を讃えていた。壇上でトロフィーを受け取った山田監督は「まさか賞をいただけると考えてなかったので、なにも考えてなかった」と戸惑いながらも、「アニメーションは素晴らしい力を持っていると思います。これからも世界中に向けて、たくさんのアニメーションを作っていけたらと思っています。」と受賞の喜びを誇らしげに語った。

【提供写真、オフィシャルレポート】

『きみの色』は2024年8月30日(金)より全国で公開
監督:山田尚子
声の出演:鈴川紗由、髙石あかり、木戸大聖、やす子、悠木碧、寿美菜子、戸田恵子、新垣結衣
配給:東宝
©2024「きみの色」製作委員会