累計発行部数は700万部を超える大人気傑作漫画を実写映画化した『ブルーピリオド』の撮影現場レポートが到着した。
「マンガ大賞」「このマンガがすごい!」など国内外から称賛され、発行部数700万部を超える傑作漫画が待望の実写映画化。周りの空気を読んで流れに任せて生きてきた高校生が、1枚の絵をきっかけに美術の世界に全てを賭けて挑んでいく―。好きなことに真剣に向き合う主人公の挑戦に、胸が熱くなる感動の物語。主演には話題作への出演が絶えない眞栄田郷敦を迎えて、高橋文哉、板垣李光人、桜田ひよりと実力と人気を兼ね備えたキャスト陣が個性豊かなキャラクターを熱演。『サヨナラまでの30分』『東京喰種 トーキョーグール』の萩原健太郎が監督を務め、新進気鋭のスタッフと共に情熱の物語を創り上げた。
大人気傑作漫画「ブルーピリオド」(作:山口つばさ)の映像化をキャスト・スタッフ一丸となって全身全霊で挑んだ本作。昨年6月下旬に、矢口八虎(眞栄田郷敦)、ユカちゃん/鮎川龍二(高橋文哉)、佐伯昌子(薬師丸ひろ子)が美術室で正対するシーンの撮影が、都内の廃校を利用して行われた。
授業で描くことになった1枚の絵をきっかけに絵を描くことの楽しさに目覚めた八虎は、倍率200倍ともいわれる最難関の国公立・東京藝術大学の存在を知る。八虎は藝大を第一志望として、美大受験に挑戦することを決意。物語が大きく動く起点となる重要な場面だ。「単なるコスプレにはしたくない」。そんな製作陣の強い思いから念入りな衣装合わせを経て生まれた八虎の制服姿のヴィジュアルは、原作の単なるトレースを超えて実在感たっぷり。脱色したかのような髪色のヘアスタイルはウィッグとは思えぬ見た目と質感がある。八虎の目の前に佇むのは、美術部顧問・佐伯昌子役の薬師丸。モニターを覗く萩原健太郎監督も思わず「ずっとこうだったかのように自然…」と唸るほど、ナチュラルなオーラを放っている。
一方、眞栄田は八虎の心の揺れ動きを動作でも表すべく、ズボンのポケットに手を入れたり、セリフのどの時点で薬師丸に近づくのがベストなのかを探ったり。萩原監督と入念なディスカッションを重ねて撮影本番に臨んだ。真剣な眼差しの寄りのショットを撮り終えた眞栄田。モニターで確認する萩原監督に「僕、芸大目指しそうですか?」と聞くと「うん、受かりそう」と満面の笑みで萩原監督が答えるなど、緊張感ある撮影の中にも適度な緩和があり、それぞれの充実ぶりがうかがえた。
そんな二人を見守りつつ、美術室で自身の導線と入りのタイミングを確認しているのはユカちゃん役の高橋。高橋は龍二の中性的な魅力を表すために約8キロの減量に挑戦しており、学ランとセーラー服をジョイントしたかのような個性的な制服は、原作のデザインを参考に高橋の体形にフィットする形で縫製されたという。製作陣が「クランクインしたばかりということもあるし、八虎とユカちゃんという相対するキャラクター性もあって、お二人はあえて距離を詰め過ぎないようにしている雰囲気がある。先々の撮影に向けて緊張感を高めているようだ」と指摘するように、カメラの外で眞栄田と高橋がベタベタと慣れ合う様子は皆無。小休憩の時間になると、眞栄田は楽屋を離れてフラッと美術室へ。教室全体を俯瞰して見渡せる教卓にもたれながら口笛を吹く。各々が自分のペースで撮影という時間を無理なく共有している。そんな様子がうかがえる印象的な姿だった。
「代役ではやらない」という製作陣の意向を受けて、キャスト陣はクランクイン前から絵の練習をスタートさせた。2022年末から新宿美術学院(現:ena美術)のレジェンド講師・海老澤功氏のもとで基礎から絵を学んだ眞栄田は、海老澤氏から「八虎のように受験すれば合格するぐらいの力はある」と太鼓判を押されるほどめきめきと上達。だがエキストラの生徒も交えて美術室で八虎たちがキャンバスに向き合うシーンの撮影では、そんな持ち前のセンスが思わぬ壁になった。絵を描き始めて間もない八虎の様子を捉えるカットでは、鉛筆を握る眞栄田の手元や画用紙に向かう姿勢が絵を描き慣れている人のように見えすぎるという問題が発生。静物画のデッサンに向き合う眞栄田の鋭い視線に対して萩原監督は「目線からして絵が上手そうだな…」と苦笑いで、撮影に帯同する海老澤氏も「一度絵を描くことに慣れてしまうと、下手に描くことが逆に難しくなる」と悩ましそう。
眞栄田もモニターの前に現れて、絵を描く自分の所作を確認しながら、海老澤氏と「どうすれば素人っぽく見えるか」を相談。鉛筆の持ち方を直角に変えたり、海老澤氏から「絵を見るのではなく描くことに集中するような様子で」とのアドバイスがあったりしながら、ショットやカットが丁寧に積み重ねられていった。機材準備を待つ間、眞栄田はごく当たり前のように鉛筆をカッターの刃で削る。画材一式は小道具でありながらも、キャスト陣にとっては大切な相棒でもあるかのような愛着がすでに生まれている。その愛が作品に宿り、スクリーンからもにじみ出ることは間違いなさそうだ。
【オフィシャルレポート】
『ブルーピリオド』は2024年8月9日(金)より全国で公開
監督:萩原健太郎
出演:眞栄田郷敦
高橋文哉、板垣李光人、桜田ひより
中島セナ、秋谷郁甫、兵頭功海、三浦誠己、やす(ずん)
石田ひかり、江口のりこ
薬師丸ひろ子
配給: ワーナー・ブラザース映画
©山口つばさ/講談社 ©2024 映画「ブルーピリオド」製作委員会