『きみの色』のジャパンプレミアが7月3日(水)に都内で行われ、鈴川紗由、髙石あかり、木戸大聖、やす子、寿美菜子、山田尚子監督が登壇した。

興行収入19億円の大ヒットとなり、社会現象を巻き起こした『映画けいおん!』(2011)、第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞のほか、2017年アヌシー国際アニメーション映画祭長編コンペティション部門に入選するなど国内外問わず高い評価を受け、23億円のヒットを記録した『映画 聲の形』(2016)の山田尚子監督最新作となる完全オリジナル長編アニメーション映画『きみの色』。脚本を務めるのは、スタジオジブリや京都アニメーションの数々の大ヒット作品を手掛け、山田監督とは「けいおん!」シリーズ以降、幾度となくタッグを組む吉田玲子。音楽を担当するのは牛尾憲輔。主演声優に日暮トツ子役・鈴川紗由、作永きみ役・髙石あかり、影平ルイ役・木戸大聖の3人、そして3人を導くシスター日吉子役を新垣結衣が務める。

先日開催されたアヌシー国際アニメーション映画祭では長編コンペティション部門に出品され、さらに第26回上海国際映画祭において金爵賞アニメーション最優秀作品賞を受賞した本作だが、現地を訪れた山田監督は「楽しんでいただけたのが分かる素敵な時間でした」と観客とともにした時間を振り返った。この受賞に、鈴川は「そんな作品にトツ子として携わらせていただけたことが幸せ。世界にこの作品を届けられたのが素敵だと思いました」と喜び、髙石は「こんなにすごい作品の一部になれたのがうれしかったです。世界にというワクワクもありますし、国内のみなさんにも見て欲しいという気持ちが高まりました」、木戸は「ニュースを見て発表された瞬間の山田監督の表情がびっくりされていて。改めてその時に海外の方にもささって見てもらえてというのを実感がわいて」と笑顔を見せた。

自身が演じるキャラクターについて「いつも明るく、周りを巻き込んでいくキャラクターなんですけど、それがポップでかわいらしくて」と紹介する鈴川は「集大成となるライブシーンがあるんですけど、牛尾さんの音楽と山田監督の美しい色が詰まった、見るだけで感情があふれ出てしまう魅力があります。見ていただかないと伝わらない感動だと思います」と熱い思いを語った。

髙石は「自分の内面をあまり上手に表現できない女の子で。(鈴川が演じる)トツ子の前だったり、(木戸が演じる)ルイの前で見え隠れする瞬間に山田監督の描く絵の表現がすごくキラキラして美しくて。人はキュンとしたり恥ずかしいと思った瞬間って絵に描くとこんなにきれいなんだと思うくらい素敵。感情が高ぶったり溢れたシーンは見ていただけたら」とすすめた。木戸は「(試写が)始まった瞬間に会場ごと包み込むような『きみの色』の世界観に染まるような瞬間を覚えていて」と試写を振り返り、「音楽と色によって出来上がる『きみの色』の世界を楽しんでいただけたらうれしい」と語った。

また、自身の役どころについて「こういう友達がいたら癒される」というやす子は「思春期に見たらぶっ刺さりそうですし、大人になっても共感できて、見終わった後に普段素直に言えない感謝を誰かに伝えたくなったりすると思う。私もマネージャーさんに素直になろうと思って、『お休みください』と伝えました(笑)今のところないです(笑)」と笑いを誘った。

これまでにも山田監督作品に出演している寿は「いつも山田さんはとにかくキャラクターたちのことを愛していて。素直にいいところ、好きなところを伝えられる人っているんだと感動した。山田さんの好きが『きみの色』に色とりどりに詰め込まれていると思いました」といい、音楽シーンが魅力の本作について「期待をはるかに超えていく作品になっている」と語った。その寿は、今回初声優となった鈴川、髙石、木戸、やす子の4人について「本当にみなさんのナチュラルさというか。生きているんですキャラクターが」と称賛した。

そんな中で、山田監督については「『けいおん!』がきっかけでギターを始めて、キャラクターのピックも集めていた」というやす子は「ものすごいうれしかったと同時に、本当に好きだからこそ、自分のような芸人が入っていいのかなと思ったんですけど、アフレコの時も優しく『自由にやって』と言っていただいたのが伸び伸びとやりやすくて感謝でいっぱいです。一切ボケられません」と思いを語った。

さらに、イベントでは七夕にちなみ願い事を披露。「バンドを組みたい」と書いた鈴川は「高校生の時から組みたいと思っていたんですけど一歩を踏み出せず。『きみの色』(の作中)でバンドを組ませていた」と笑顔を見せた。「お芝居で自分の色を見つけられますように」と書いた髙石は「この作品で声だったり、いろんな学びがものすごくあって。お芝居で自分の色を、より探していきたいと思っています」と語ると、やす子からも「素敵だ」というコメントが寄せられ、会場は拍手に包まれた。

一方で、「大きな花火を打ち上げたい」と書いた木戸は「仕事の面でもプライベートの面でも大きなものを作っていきたい」と語った。寿は「やまだかんとくとごはんんいいきたい」、山田監督は「ひとやまあてたい」と書き笑いを誘った。そして最後の発表になったやす子は「ドッキリの仕事が無くなりますように」と書いたやす子は「“この世から”をつけ忘れました。ホラー系とどっきとかはNGにしているんですけどマネージャーが入れてきやがるんです。短冊に書いたら叶うだろうと」とコメントしたが、ここでMCから「実はお話する順番をラストにしちゃいました、ドッキリです」と明かされると、やす子は「こういうやさしいドッキリが増えたらいいのにな」と返し、会場は笑いに包まれた。

【写真・文/編集部】

『きみの色』は2024年8月30日(金)より全国で公開
監督:山田尚子
声の出演:鈴川紗由、髙石あかり、木戸大聖、やす子、悠木碧、寿美菜子、戸田恵子、新垣結衣
配給:東宝
©2024「きみの色」製作委員会