『潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断』の実物大の潜水艦コマンダンテ・カッペリーニ号を建造していく様子を捉えたメイキング映像が公開された。

本作は、第二次大戦下に、イタリア海軍の潜水艦コマンダンテ・カッペリーニが沈めた敵国船の乗組員を救助したという実話を基に、戦時下においても決して失われることのない海の男たちの誇りと絆(シーマンシップ)を描いた重厚な戦争秘話。CGでは再現できない本物の質感とクルーたちの過酷な勤務描写が観るものを唸らせる。監督は本作で2度目のヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門に選出されたエドアルド・デ・アンジェリス。主人公のサルヴァトーレ・トーダロ艦長を演じるのは数々のイタリア映画の巨匠たちに重宝される名優ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ。

今回、イタリア海軍全面協力を得て実物大の潜水艦コマンダンテ・カッペリーニ号を建造していく様子を捉えたメイキング映像が解禁された。本作では“役者が原寸大の物体の中に完全に入り込めるように”というエドアルド・デ・アンジェリス監督の発案のもと、およそ100人の工学設計士、技術者、専門工が動員され、当時の実物と同じ長さ73メートル、高さ12メートルという巨大な潜水艦コマンダンテ・カッペリーニ号を再現して撮影に臨んだ。

実物大の潜水艦コマンダンテ・カッペリーニの建造は2020年に始まった。美術のカルミネ・グアリーノ(『切り離せないふたり』(2016)、『堕ちた希望』(2018)、『The Hand of God』(2021))は、長く綿密な調査をし、総合造船グループであるフィンカンティエリの協力によって精密な部品の資料をもって建造計画を立てた。73メートルの鉄の船体に仕上げるために、まず3Dで潜水艦コマンダンテ・カッペリーニ号を再現した。美術チームは何か月も作業をし、150を超える製図版を作成、すべてのディテールを描写し全長を原寸で確認しオリジナルの特徴を捉えた。海軍のエンジニアであるニコラ・フェラーリ氏によってデザインされた喫水線の製図によって、船体の直線と曲線を再現するために3Dと2Dの両方のモデルを活用。美術チームの努力によって、コマンダンテ・カッペリーニのデジタルモデルができあがった。

デザインは完了し、次のフェーズに移る。ヨーロッパ最大級の映画撮影所チネチッタの協力を得て、まずは大きな部分である船体の建造を開始、そしてハッチや司令塔、艦砲の細部の制作が始まった。ローマのチネチッタのスタジオで建設され、それを分解し南部のターラントまで運び、イタリア海軍のサポートもあり兵器工場にあるフェラーティドックに格納された。潜水艦は浮橋に設置され、曳航され海に放たれた。そして、すべての海中シーンに使用された。艦内の撮影においては既存のドイツの潜水艦セットをイタリア式に改造して使用した。艦長室は50ものスケッチを用いてゼロから制作されたものである。

監督は「この物語では、機械と人間、肉体とメタルの関係を、人間の機能とメカニカルな装置の関係を描こうとした」と明かし、「当時はダイレクトな関係で電子工学は媒介しなかった。人間は肉体の延長線上で機械を動かしていた。一方に人間がいて、もう一方に機械がある必要があったんだ」と当時の人間と船との関わり方に言及する。このように細部にまでこだわり、臨場感あふれる演出とリアルを追求した本作は、実物大の潜水艦での撮影だからこそ成しえた世界観を作りだしたことで、観客をダイナミックで圧巻の映像世界へと連れていってくれるだろう。

メイキング映像

また、貴重な当時の潜水艦の写真と、本物のサルヴァトーレ・トーダロ艦長の写真が到着した。

さらに、本作を一足先に観た著名人からの絶賛コメントが到着した。

池上彰(ジャーナリスト「ぴあ」アプリ&Web 「水先案内」より)

この映画は戦争中の実話がもとになっています。
敵艦は容赦なく沈めるが、人間は助ける。
戦争にもルールがあり、人道的な行動がありうるのだということを教えてくれます。

かわぐちかいじ(漫画家)

戦時下にあって、敵と闘いそして戦争と闘う海の男たち。
戦火、紛争が地球を覆う今、世界はこの映画を必要としている!!

福井晴敏(作家/『ヤマトよ永遠に REBEL 3199』総監督)

見せ場は満載なのに、とても静かな印象の戦争映画。
その静けさが、戦争の中で人が人であり続けることの困難さと尊さを浮かび上がらせる。
きな臭い風が吹き寄せている昨今、きっと観ておくことがあなたの魂の財産になる映画です。

元海上自衛隊潜水隊司令

この映画は単艦行動を専らとする潜水艦艦長の「決断」についての苦悩と責任感の重圧を見事に表現しています。
文字通りの「鉄の棺」の中で、自らの使命と人道との狭間で百名を超える乗組員への愛情を貫いた物語です。

『潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断』は2024年7月5日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開
監督:エドアルド・デ・アンジェリス
出演:ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、マッシミリアーノ・ロッシ、ヨハン・ヘルデンベルグ、パオロ・ボナチェリ、シルヴィア・ダミーコ
配給:彩プロ
©2023 INDIGO FILM-O’GROOVE-TRAMP LTD-VGROOVE-WISE PICTURES