安部公房の同名小説を石井岳龍監督が映画化した『箱男』の場面写真が解禁された。

熱狂的な読者を世界中に持つ日本を代表する文学者であり「壁」「砂の女」などでも知られる安部公房。原作の「箱男」は安部公房が1973年に発表した小説で、“人間が自己の存在証明を放棄した先にあるものとは何か?”をテーマとし、その幻惑的な手法と難解な内容のために映像化が困難と言われていた。幾度かヨーロッパやハリウッドの著名な映画監督が原作権の取得を試みたが許諾が下りず、安部公房本人から直接映画化を託されたのは石井岳龍だった。1997年に製作が決定したが、クランクイン前日に撮影が頓挫し、幻の企画となった。それから27年―安部公房生誕100年にあたる2024年、映画化を諦めなかった石井監督はついに『箱男』を実現させた。主演には27年前と同じ永瀬正敏、同じく永瀬と共に出演予定だった佐藤浩市の出演が決定。さらに、浅野忠信、数百人のオーディションで抜擢された白本彩奈ら実力派俳優が揃った。

今回、箱男とニセ箱男が本気でぶつかり合う迫力のアクションシーンの場面写真が解禁された。ダンボールを頭からすっぽりと被り、街中に溶け込み、一方的に世界を覗き見る『箱男』。偶然目にした箱男に心を奪われた永瀬正敏演じるカメラマンの“わたし”は、自らもダンボールを被り、完全な孤立・完全な匿名性を得て社会の螺旋から外れた「本物」の箱男となるべく、一歩を踏み出す。そんな“わたし”の前に現れたのは、箱男の存在を乗っ取ろうと画策する浅野忠信演じる“ニセ箱男”の存在だ。

箱男の「この街に箱男は2人要らないつってんだ!」という掛け声と共に、戦いの火ぶたが切って落とされる。互いに箱を被ったまま縦横無尽に走り回り、銃に対して砂をつめたワニのぬいぐるみを武器に戦ったり、取っ組み合いのアクションを繰り広げたりと、迫力のシーンが描かれる。7月の酷暑の中、実際に永瀬と浅野が箱に入り、多くのシーンを熱演している点も見どころのひとつである。果たして“わたし”は本物の『箱男』になれるのか。そして、ニセモノとの戦いの行方は―。

『箱男』は2024年8月23日(金)より全国で公開
監督:石井岳龍
出演:永瀬正敏、浅野忠信、白本彩奈/佐藤浩市
 渋川清彦、中村優子、川瀬陽太
配給:ハピネットファントム・スタジオ
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