第96回アカデミー賞国際長編映画賞でシンガポール代表となった注目作『燃冬(原題)』が『国境ナイトクルージング』の邦題で10月18日(金)より公開されることが決定し、併せて特報映像、ティザービジュアルが解禁された。

舞台は、文化が混じりあい、至るところに漢字とハングルが混在している、中国と朝鮮半島の国境にある町・延吉。そこで男女3人が偶然出会い、冬の延吉をクルーズ(ぶらぶらと観光)することで起こる心の変化を、煌めく映像美と叙情的音楽で綴る青春映画。それぞれの事情で孤独と葛藤を抱え、やり場のない寂しさに閉じ込められていた彼らだったが、磁石のように引き寄せられ、数日間を気ままに過ごす。深入りせずに、この瞬間をひたすら楽しむ、それが暗黙のルールだ。過去も未来も忘れ、一緒にいるだけで凍り付いた心はほどけていくのだった……。

監督を務めたのは、『イロイロ ぬくもりの記憶』(13)で、フィリピン人ヘルパーと彼女が世話をする10歳の子供との絆を繊細に描き、第66回カンヌ国際映画祭カメラドールを受賞したシンガポール出身のアンソニー・チェン。プロデューサーはティルダ・スウィントン主演作『MEMORIA メモリア』(21)、チェン監督作『熱帯雨』(19)のメン・シェ。そして撮影は『少年の君』(21)のユー・ジンピン。水墨画のような風景が広がる国境の雪山や、朝日にきらめくダイヤモンドダストなど、心象風景と一体化した繊細な風景描写に注目してほしい。また、3人の揺れる感情と微妙な恋愛模様をドリーミーでメランコリックな音楽で象徴するのは、監督が抜擢した“シンガポールのアンビエント・ボーイ"こと、キン・レオン。ロンドン・カレッジ・オブ・ミュージックを首席で卒業し、シンガポールと日本を拠点に活動するアーティストだ。まだ20代と若く、本作が長編映画への楽曲初提供となる。

主演は、2021年に日本でもスマッシュヒットを記録した『少年の君』での真に迫る演技が記憶に新しい、人気実力を兼ね備えたチョウ・ドンユイ。アンソニー・チェン監督とは本作が2度目のタッグとなり、脚本のない段階で監督からオファーされ快諾。人生に迷った自分の経験を重ねながら、ノーメイクでナナの孤独を表現している。極寒の町に足止めされるハオフォンには、大人気シリーズ『唐人街探偵』(15~)で天才探偵を演じたリウ・ハオラン。増量と髭を伸ばす役作りで、心をどこかに置き忘れたエリートを静かに演じている。ナナに片思いするムードメーカーのシャオには、Netflix映画『流転の地球』(19)、『あなたがここにいてほしい』(21)のチュー・チューシアオと、中国の人気実力派キャストが結集した。

チラシ裏面

今回解禁された特報映像は、チョウ・ドンユイ演じるナナが駐車場の中央で「今夜 予定ある?」と、まるでこちらに向かって話しかけているような場面から始まり、呑み、走り、笑いあう3人の姿を映し出す。最後には「本当に大好きな作品」と本作を絶賛した是枝裕和監督からのコメントも収録している。フランス映画へのオマージュが感じられる場面もあり、注目の映像となっている。

特報映像

ストーリー

中国と北朝鮮との国境の都市、延吉。ハオフォン(リウ・ハオラン)は友人の結婚式に出席するため、冬の延吉を訪れた。披露宴が終われば、翌朝のフライトまで予定はない。暇つぶしに観光ツアーに参加してみたが、不運にもスマートフォンを紛失してしまう。そこで観光ガイドのナナ(チョウ・ドンユイ)はお詫びにとハオフォンを夜の延吉に連れ出す。男友達のシャオ(チュー・チューシアオ)も合流しての飲み会は盛り上がり。ナナの部屋になだれ込んで朝方まで飲み明かすのだった。翌朝、寝過ごしたハオフォンは上海に戻るフライトを逃し、途方に暮れる。ぽっかり空いた週末。シャオの提案で3人はバイクに乗り込み、国境クルージングに出掛ける。数日間、目的もなく一緒に過ごしただけ。それでも、心から笑い、冒険した思い出が、迷える若者たちの未来を変えていく。

『国境ナイトクルージング』は2024年10月18日(金)より新宿ピカデリーほか全国で公開
監督・脚本:アンソニー・チェン
出演:チョウ・ドンユイ、リウ・ハオラン、チュー・チューシアオ
配給:アルバトロス・フィルム
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