奇跡の名作が4Kデジタル修復で名曲にのせて美しく蘇る―『イル・ポスティーノ 4Kデジタル・リマスター版』が11月8日(金)より公開されることが決定し、併せて予告編、ポスタービジュアルガ解禁された。

1995年度のアカデミー賞®で作品賞を含む5部門にノミネートされ、作曲家ルイス・エンリケス・バカロフの心の襞に沁みるような哀愁に満ちた旋律が、オリジナル作曲賞を受賞した『イル・ポスティーノ』。名声に輝く偉大な詩人と、そんな煌びやかな世界とは全く縁のなかった内気な郵便配達人との間に芽生えた心温まる友情を描き、日本でも1996年に上映されロングラン大ヒットを記録した。今も多くの映画ファンが、生涯のベスト作品の1本としてその名を挙げる奇跡の名作が、製作30周年を記念して4Kデジタル映像によって繊細かつダイナミックに蘇る。

公開当時、世界が驚きと共に知ることになったのは、主人公の郵便配達人を演じたマッシモ・トロイージが、本編撮影終了の12時間後に、完成作品を観ることなく、41歳という若さでこの世を去ったということ。もともと心臓に病があり、本作の撮影中には体力の限界に達し、1日2時間しか演技ができなかったトロイージ。彼の命が注がれ、どこか儚い影と天性のユーモアをたたえた愛さずにいられないキャラクターを創り上げ、アカデミー賞男優賞にノミネートされた。

主人公に心を許しメンター的な存在となってゆく高名な詩人パブロ・ネルーダに扮したのは、不朽の名作『ニュー・シネマ・パラダイス』の映写技師役で映画史にその名を刻むフランスの名優フィリップ・ノワレ。撮影中に今にも倒れそうなトロイージを現場で励まし続けたという。ふたりの名優の忘れ難き名演と魂が刻まれた本作は、世界中の観客に感動を呼んだ。

イタリアで尊敬される映画監督・俳優だったトロイージは、20世紀最大の詩人と言われたチリの国民的詩人であり政治家でもあったパブロ・ネルーダ(1904-1973)を敬愛し、彼をモデルにしたアントニオ・スカルメタの小説「バーニング・ペイシェンス」に感銘を受け、自ら本作の企画を立ち上げ脚色チームにも参加した。ネルーダが数年間イタリア南部の小島で過ごした事実を基に映画化を実現。トロイージからの要請を受け、互いにリスペクトする間柄だった『1984』のマイケル・ラドフォードが監督と共同脚色を務め、本作でアカデミー賞監督賞と脚色賞にノミネートされ、英国アカデミー賞監督賞を獲得した。

映画完成時、ネルーダの熱心なファンを名乗るジュリア・ロバーツ、スティング、グレン・クローズ、マドンナ、レイフ・ファインズ、イーサン・ホーク、サミュエル・L・ジャクソンらがアメリカ版のサウンド・トラックへ詩の朗読に参加したことも話題となった。奇しくも2024年はネルーダ生誕120周年となり、トロイージが命をかけた作品がメモリアルイヤーを飾る。

今回解禁された予告編とポスタービジュアルでは、南イタリアのナポリ湾に浮かぶ小島の陽光や青い海と空が、詩人パブロ・ネルーダと郵便配達人マリオの友情、詩を知る喜びや鮮烈な恋を引き立たせている。今も色褪せない名作が、映像も音も鮮明に4Kデジタル修復され、アカデミー賞オリジナル作曲賞受賞の名曲が心に染み入り感動の予感を漂わせる。ポスターには「〝言葉″が、人生に愛を運ぶ」というキャッチコピーが添えられている。パブロ・ネルーダが紡ぎ出す言葉の豊かな力は、主人公マリオに広く自由で豊かな世界へと飛び立つ翼を与えたが、その世界には同時に厳しさもあった。この世に生まれ、思いがけない人と出会い、そして別れることの素晴らしさと切なさが、観る者の魂に波のように寄せては返す忘れられない物語を期待させる予告編とポスターになった。

予告編

ストーリー

イタリア、ナポリ沖合いの緑あふれる小島。高名な詩人パブロ・ネルーダが、祖国チリを追われ亡命してやって来る。内気な青年マリオは、ネルーダへ手紙を運ぶ郵便配達人となり、彼との交流を通じて、詩の魅力を知っていく。やがてマリオは、バーで働くベアトリーチェに一目惚れし、ネルーダに恋の相談をするが…。

『イル・ポスティーノ 4Kデジタル・リマスター版』は2024年11月8日(金)より角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国で順次公開
監督:マイケル・ラドフォード
出演:マッシモ・トロイージ、フィリップ・ノワレ、マリア・グラツィア・クチノッタ
配給:セテラ・インターナショナル
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