『Cloud クラウド』のジャパンプレミアが9月10日(火)にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、菅田将暉、古川琴音、奥平大兼、岡山天音、荒川良々、窪田正孝、黒沢清監督が登壇した。

本作は、『スパイの妻』(2020)で、第77回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞した黒沢監督の最新作で、憎悪の連鎖から生まれる“集団狂気”を描いたサスペンス・スリラー。「何かに狙われている――?」転売で稼ぐ吉井の仕事が軌道に乗り出した矢先、周囲で不審な出来事が重なり、これまでの「日常」が壊されていく……。主演の菅田将暉は、「ラーテル」というハンドルネームを使い、転売で稼ぐ主人公・吉井良介を演じている。

ヴェネチア国際映画祭やトロント国際映画祭で上映された本作だが「全く誰も出ていかなかったです」と明かす黒沢監督だが「トロントですごくいいところで一人出ていったんです。1分くらいしたら慌てて戻ってきたんです。トイレだったみたいです」と笑いを誘った。その反応を見て、菅田は「語っている監督がうれしそうでうれしい」と笑顔を見せた。

黒沢監督の作品に初参加という菅田は「毎日楽しかったです。スタッフさんも生き生きしている」と話し、古川は「みんなの息を合わせて作っていったシーンが多かった」という。また、キャストの中で最年少だったという奥平は「バキバキに緊張していたんですけど、クランクイン3日目の時に、最後のシーンを撮っていたんですけど、そのシーンがあまりにも緊張しすぎて心臓がバクバクいってて。録音部さんに『心臓がバクバクだったね』と言われて、聞こえるくらいバクバクになっていて恥ずかしかった」と緊張していたことを明かした。

そんな撮影現場について「強烈に印象に残っているのは、物静かな印象があった窪田さんはこんなに陽気でおもしろく楽しい人なんだと。窪田さんがいるだけで、お芝居は悲惨な残酷なことをしていてもカットがかかった瞬間、本当に楽しい現場になる。どの現場にも窪田さんにいて欲しいなと思いました」というと、菅田も「めっちゃ明るかったです」と共感していた。

また、“狙われる”という役どころに「怖かったです。追っているみなさんが楽しそう」という菅田は「監督も楽しそうなんです。みんなが楽しそうで僕はずっと怯えている」というと、窪田も「監督ニヤニヤしてたよね」と明かし、黒沢監督は「ちょっと身に覚えがないです」と返し、笑いを誘った。

また、「雲をつかむような曖昧なイメージでしか把握できなかった」という古川は、撮影前のカメラテストで「窓際に佇んで、怒っているようにも見えるし泣いているようにも見えるし笑っているようにも見えるような表情で佇んでくださいという指示があって、すごい難しいし試されているし、これで『やっぱり秋子違うわ』と思われたらどうしよう見たいなプレッシャーもあった」と明かしつつ、「監督の言葉がヒントになっていて。そういうものを蓄積させて作っていきました」と役作りを振り返った。

さらに、本作のクランクイン前には緊張していたという菅田は「この映画の(撮影の)前日に、こんなに緊張していたんだと思ったのが、さつまいもの皮をピーラーで剥いていたら、親指をバッていっちゃって」と切ってしまったことを明かし、「明日インなのにどうしよう、落ち着こう落ち着こうと思っていたら奥歯が割れて。飯食いながら。すごい噛みしめていたんでしょうね。歯医者行って、明日インみたいな」と撮影前日にハプニングがあったことを明かし、観客を驚かせた。

【写真・文/編集部】

『Cloud クラウド』は2024年9月27日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国で公開
監督・脚本:黒沢清
出演:菅田将暉、古川琴音、奥平大兼、岡山天音、荒川良々、窪田正孝
赤堀雅秋、吉岡睦雄、三河悠冴、山田真歩、矢柴俊博、森下能幸、千葉哲也、松重豊
配給:東京テアトル、日活
©2024 「Cloud」 製作委員会