『傲慢と善良』のジャパンプレミアが9月11日(水)に都内で行われ、藤ヶ谷太輔、奈緒、倉悠貴、桜庭ななみ、萩原健太郎監督、原作者の辻村深月が登壇した。

2019年に単行本が発売されると、現代に生きる人々のリアルな恋愛観や価値観が描かれた本作は第7回ブクログ大賞を受賞し、20代、30代を中心に多くの共感を呼び話題が広がり、2023年最も売れた小説となった辻村深月『傲慢と善良』。主人公の架と真実はマッチングアプリで出会い婚約した直後、真実が突然失踪してしまう。彼女を探すうち<知りたくなかった過去と嘘>が明らかになる。すべてをさらけ出した2人がたどり着く“一生に一度の選択”を描くドラマティック恋愛ミステリー。

イベントは客席通路に藤ヶ谷と奈緒が登場し、観客を沸かせたところで、藤ヶ谷から奈緒にサプライズで花束が渡され、会場は大歓声に包まれた。ステージに登場した奈緒は藤ヶ谷からのサプライズに「聞いてないよ(笑)」と照れ笑いを浮かべ、藤ヶ谷は「だってサプライズだもん(笑)」と笑いつつ「架から真実への気持ちと、私、藤ヶ谷から大切な作品を一緒に作れてすごくうれしいですという感謝の気持ちを花束として」とコメントした。

そんな本作は、映画化が決定する前から“人生で1番好きな小説”と語っていた藤ヶ谷は「ドキドキふわふわしていますけどうれしい気持ちでいっぱいです」、奈緒は「夢が叶って嬉しいです」とそれぞれ挨拶した。さらにこの日は、原作者の辻村も登壇し、「私が見たかった映画を作ってくださってありがとうございます」「原作を書いていた時から言葉を尽くして小説でした。自分でもよくここまで書いたなということを書いているんですけど、だからこそ実写映画にしたときにそれが伝わらないものになってしまうという気持ちもありながら、伝わらなくてもという気持ちで送り出した」と明かしつつ、「私が見たかった、原作のファンの方たちも見たかったと思っていただける『傲慢と善良』になっています」という辻村の大絶賛に藤ヶ谷は「うれしいな、ニヤニヤしちゃう」と笑顔が止まらない様子だった。

冒頭から喜びがあふれる藤ヶ谷だが、出演が決まった際には「心からうれしかったです。2019年に(原作に)出会った時は、この小説は刺さって面白いということだけを伝えていて。いつか自分がやりたいという思いは1ミリもなく。言霊にしていくことで形になっていったことがうれしい」と語った。一方で「原作が好きで、原作の香りは絶対残したいし、でも映画ならではの良さも絶対に入れないといけない。監督と奈緒ちゃんと話し合いをしながらみんなで作っていった、いい思い出として残っています」と思いを語った。

同じく原作が好きだという奈緒は「傲慢と善良という2つの言葉があって、一つの物事をどちらかで決定づけないようにと意識していて。傲慢と善良を意識しすぎないことを意識する。自分だけの価値観ではなくて、みんなの価値観とか、いろんなものを共有しながら、話せば話すほど傲慢と善良の間で揺れ動くことができた」と振り返った。

本作への思いを語る藤ヶ谷と奈緒、そして萩原監督の3人はクランクイン前に食事をする機会があったといい、「自分にとっての愛はどういうものなのか、人にやさしくするとはどういうことなのかを自然といろんなことを話して。今思うと恥ずかしいことを言ってたなと」という藤ヶ谷。奈緒は「監督の夫婦関係とか、そこにある愛のお話がすごくうらやましいと思ったことを覚えています」と振り返り、「そういう監督がこの作品を撮るんだと思うと信頼しかない。インする前に楽しみになった」と明かした。

また、「映画だからこそできる表現を入れていく。原作を大切にしつつ、実写化という言葉ではなく、映画として作りたかったという思いが強くありました」と思いを語る萩原監督。辻村は「原作そのものというよりは、原作を超えて欲しいという気持ちを持っていて。私が彼らの続きというか成長した姿、私が見ていなかったときに架と真実はこういうやり取りがあったのかもしれないという、そういうものが見たくて送り出す」という。さらに、「原作に書いていないけど原作通りのしんどさをくみ取れるチームにお預けできた」と信頼を語り、「現場でも話してくださっていたとか、みなさんが『傲慢と善良』という小説や架と真実に思うことを話してくださって一緒に作ってくださったという感じが出ていて、それが完成形になっている」と称賛した。

【写真・文/編集部】

『傲慢と善良』は2024年9月27日(金)より全国で公開
監督:萩原健太郎
出演:藤ヶ谷太輔、奈緒
 倉悠貴、桜庭ななみ/阿南健治、宮崎美子
 西田尚美、前田美波里
配給:アスミック・エース
©2024「傲慢と善良」製作委員会