『きみの色』の公開御礼舞台挨拶が9月12日(木)にTOHOシネマズ日比谷で行われ、鈴川紗由、髙石あかり、木戸大聖、パワーパフボーイズ(AO/KAN/naoto)、山田尚子監督が登壇した。
興行収入19億円の大ヒットとなり、社会現象を巻き起こした『映画けいおん!』(2011)、第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞のほか、2017年アヌシー国際アニメーション映画祭長編コンペティション部門に入選するなど国内外問わず高い評価を受け、23億円のヒットを記録した『映画 聲の形』(2016)の山田尚子監督最新作となる完全オリジナル長編アニメーション映画『きみの色』。脚本を務めるのは、スタジオジブリや京都アニメーションの数々の大ヒット作品を手掛け、山田監督とは「けいおん!」シリーズ以降、幾度となくタッグを組む吉田玲子。音楽を担当するのは牛尾憲輔。主演声優に日暮トツ子役・鈴川紗由、作永きみ役・髙石あかり、影平ルイ役・木戸大聖の3人、そして3人を導くシスター日吉子役を新垣結衣が務める。
本作の観客はリピータも多くおり、鈴川は「InstagramのDMに“トツ子ちゃんすごくかわいかったです”とか“トツ子役やってくれてありがとうございます”など嬉しいお言葉をいただいていてありがたいです」と笑みをこぼした。髙石はSNSなどをしっかり見ていると明かし「伝わればいいなと思う部分が伝わっていると思います。音楽も聞いてくださっていてうれしいです」と作中で自身の演じるきみが歌っているシーンについての反響を語った。木戸は本作の冒頭のシーンの「包み込まれるような、色が豊かな世界に連れていかれる感じは感想で届いていました」と自身も初めて見たときに感動したと語った。
また、好きなシーンを聞かれると鈴川は、きみとトツ子がクリスマスにショッピングをしているというシーンを挙げ「きみちゃんが感情が溢れてキラキラとはじける瞬間のシーンが好きで、見ていただかないと伝われない美しさです」と紹介し、そのシーンについて山田監督は”作画の話になりますが”と前置きし「色が変わっていく処理が特許とれるんじゃないかと。すごく綺麗にできたとスタッフ一同思っています」と自信をみせた。
髙石はネタバレになってしまうラストシーンをずっと言いたかったと話した上で「思い入れも深いシーンとなっています」と語り、アフレコ時には「涙も溢れたりした」と明かした。さらに同シーンでのアフレコに納得していなかった様子の髙石は「監督にお伝えしたら、その日は大丈夫だよ。とおっしゃっていただいたけど次の日にもう一度やり直しましょうと言ってくださって。2回目の(アフレコが)使われていると聞きました」と本作の大事なシーンでの葛藤があったことを話すと山田監督は当時の様子を「(髙石の姿が)放っておいてはいけないような気がした」と振り返り、2回目のアフレコについて「さらにきみの想いがのった、思い入れがあるシーンです」と髙石との思い入れのあるシーンとして語った。
そして、木戸は自身は関わっていないシーンできみとトツ子のお泊り会のシーンを挙げ「男性としてそういうところを見れないので、かわいかったな」と恥ずかしそうに語ると、山田監督は「木戸さんの目線がマニアックで好感度が上がりました」と細かい部分も見ていたという木戸に喜びをみせた。
山田監督からもらったアドバイスについて、鈴川は作中でトツ子が劇中歌「水金地火木土天アーメン」をスキップをしながら大声で歌っているシーンを「覚悟を持ってやるしかないなと思って体当たりでやりましたが、その声がマイクに入ってしまったのでやり直しになった」と笑顔でハプニングを明かすと山田監督は「大反省です」と振り返り、鈴川は「自分の殻をやぶれました」と体当たりで臨んだアフレコでの成長を語った。また、木戸は自身が声を担当したルイについて「(山田監督から)ルイ君は大型犬だと言われていました」と人を包み込むような優しさがあると話し「髪がふわっとなるような感じも確かに大型犬に似ていると思っていましたが後半になるにつれて犬が抜けなくなっていって『ちょっと犬を抜きましょう』と言われました」と明かし、観客からは笑いが起こった。
【写真・文/編集部】
『きみの色』は全国で公開中
監督:山田尚子
声の出演:鈴川紗由、髙石あかり、木戸大聖、やす子、悠木碧、寿美菜子、戸田恵子、新垣結衣
配給:東宝
©2024「きみの色」製作委員会