今週末に公開を控えている『ふれる。』の魅力を紹介。『あの花』『ここさけ』『空青』を手掛けた監督:長井龍雪 × 脚本:岡田麿里 × キャラクターデザイン:田中将賀の最新作、そして豪華声優陣が新たな青春を伝える。
同じ島で育った幼馴染、秋と諒と優太。東京・高田馬場で共同生活を始めた三3人は20歳になった現在でも親友同士。それは島から連れてきた不思議な生き物「ふれる」が持つテレパシーにも似た力で趣味も性格も違う彼らを結び付けていたからだ。お互いの身体に触れ合えば心の声が聴こえてくる-。それは誰にも知られていない3人だけの秘密。しかし、ある事件がきっかけとなり、「ふれる」に隠されたもう一つの力が徐々に明らかになるにつれ、3人の友情は大きく揺れ動いていく―。
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』('11、'13)、『心が叫びたがってるんだ。』('15)、『空の青さを知る人よ』('19)“心揺さぶる”青春3部作を手がけた、監督・長井龍雪、脚本・岡田麿里、キャラクターデザイン、総作画監督・田中将賀の3人が贈る、オリジナル長編アニメーション最新作。前3部作は秩父を舞台に10代のあの頃を思い出すような懐かしくも歯がゆい青春が描かれているが、本作は高田馬場周辺を舞台に、青年時代の青春を描いている。そして、愛らしい反面、目に何かを宿しているような怖さも持っている不思議な生き物の「ふれる」が登場する。
オーディションで選ばれた親友3人組全員が、アニメーション映画初主演となり、今回「ふれる」を通じて繋がりを持った幼馴染で親友だが、「ふれる」の隠された力が明らかにされた時、揺さぶられる関係性を声優として演じている。
小野田秋(CV:永瀬廉)
「King & Prince」のメンバーとして活動する一方、数々の映画やドラマで活躍しており『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』('23)では声優初挑戦ながらも好評を博した永瀬廉が演じるのは、人とコミュニケーションを取ることが苦手で「ふれる」と出会う前は言葉で自分を表現することができず手が先に出てしまう少年・秋。堂々と会話することができずに恐る恐る震えるような、絞り出した声で秋らしさを表現しており、役柄的には多くのセリフを話すわけではないが、秋の口癖や樹里との会話を通じて次第に彼女に心を開き惹かれていく感情の移り変わりを表現している。
祖父江諒(CV:坂東龍汰)
映画、ドラマ、舞台と活躍の場を広げ、25年正月公開予定の映画『君の忘れ方』にも主演が決定している坂東龍汰が演じるのは、親友3人の中では自分の意思を一番出すことができ、秋とは真逆の性格でリーダー的な存在の祖父江諒。諒はそんな強気の性格とは裏腹に、会社では上司に注意を受けてばかりいるが、それを真摯に受け止めている青年を坂東のまっすぐで爽やかな声と演技で表現している。
井ノ原優太(CV:前田拳太郎)
ドラマ『仮面ライダーリバイス』('21)シリーズにて主演を務め、様々な映像作品に出演しており、元々アニメーションが大好きだという前田前田拳太郎が念願の声優初挑戦で演じるのは、3人の中では秋と諒の喧嘩を止める仲介役のような役割をしており温厚な性格に見える井ノ原優太。優しい性格だが、コンプレックスがあり服飾学校では年下の同級生には「島ファッション」とけなされている。そんな優太は「ふれる」の能力の秘密がわかると彼の心の中に潜む黒い感情が溢れ出し、物語が進むにつれて滲み出てくる優太の変化を前田は見事に表現している。
また、主人公の3人を取り巻く個性豊かなキャラクターには実力派声優陣が揃っている。 芯の強い姉御肌で親友の奈南を守るしっかり者の鴨沢樹里の声を担当するのは、『コクリコ坂から』('11)で声優デビューし、「ゴールデンカムイ」シリーズなど人気作で数多くの人気キャラクターを担当している白石晴香。元服飾専門学生で誰にでも優しく、流されやすい一面もある浅川奈南の声を担当するのは「【推しの子】」、「魔王軍最強の魔術師は人間だった」など数々のヒット作に出演している石見舞菜香。『あの花』本間芽衣子役の演技に心を打たれ、声優になったことで知られている石見は、『あの花』クリエイター陣の作品に出演することが大きな夢の1つだったと語っている。また、学童時代の恩師・脇田には永瀬や坂東とも共演している『弱虫ペダル』('20)など個性的な役からナレーションやアニメーション声優も務めており、今回が初劇場版アニメーション声優となる皆川猿時。そして、服飾専門学校の先生で優太のクラスの副担任で、ある事をきっかけに優太を気にかけるようになる島田公平の声を担当するのは「呪術廻戦」シリーズ、実写映画では『映画 マイホームヒーロー』('24)など、話題作の声優・俳優を務めながら、ナレーターや舞台、朗読劇、映像監督や作品プロデュースなど、幅広く活動している津田健次郎が担当している。
そして、本作の主題歌を担当したのは小説を音楽にするユニット”YOASOBI。今回、初のアニメーションタイアップ楽曲となった「モノトーン」は、こうしき岡田麿里が書き下ろした小説『ふれる。の、前夜。』をもとにした楽曲となっている。そして、YOASOBIが10月2日(水)にCDリリースする『モノトーン』のジャケット写真は、『ふれる。』公式の描き下ろしイラストとなっており、作品に登場する不思議な生き物“ふれる”の言い伝えの本をモチーフにした絵本型ブックレット仕様となっている。また、『モノトーン』CDには、表題曲「モノトーン」に加えて、本楽曲の英語版と、オリジナル長編アニメーション映画『ふれる。』本編用に新規パートを追加した「モノトーン - Movie Edit –」、そして原作小説『ふれる。の、前夜。』が収録されている。さらに、店舗別特典は、本作公式の描き下ろしイラストや楽曲ロゴを使用したオリジナルアイテムとなっているのでそちらも見逃せない。
【文/片岡由布子】
『ふれる。』は2024年10月4日(金)より全国で公開
監督:長井龍雪
声の出演:永瀬廉、坂東龍汰、前田拳太郎
白石晴香、石見舞菜香
皆川猿時、津田健次郎
配給:東宝、アニプレックス
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