『2度目のはなればなれ』で名優マイケル・ケインが本作を引退作に選んだ理由について、プロデューサーのコメントを交えて解き明かす。

名優マイケル・ケインとグレンダ・ジャクソンが『愛と哀しみのエリザベス』(1975)以来50年ぶり2度目の共演にして、2度目の夫婦役を演じ話題になり、本国イギリスで興行収入10億円超えの大ヒットを記録した本作『2度目のはなればなれ』。

本作は89歳の退役軍人が6月ノルマンディ上陸作戦70年記念式典に参加するため、老人ホームを抜け出した実話を基にした作品。『ハンナとその姉妹』(1987)、『サイダーハウス・ルール』(2000)で2度のオスカー受賞したマイケル・ケインが主演を務め、本作で引退することを表明している。約70年にわたり180本以上の映画に出演してきた彼の華麗なる俳優人生に幕を下ろす“引退作”だ。そして共演には、『恋する女たち』(1969)、『ウィークエンド・ラブ』(1974)で2度のオスカー受賞したグレンダ・ジャクソン。全英公開を控えた2023年6月15日、87歳でこの世を去り、輝かしい女優人生に幕を閉じた。名優2人の最後の共演となる本作は、観る者にとって忘れられない感動を刻む心温まる名作となるだろう。

互いに2度のオスカー受賞という名優マイケル・ケインとグレンダ・ジャクソンが50年ぶり2度目の共演にして、 2度目の夫婦役を演じ話題になった本作。グレンダは映画公開前の2023年6月15日に輝かしい女優人生に幕を閉じ、そして、マイケルも本作で華麗なる俳優人生に幕を下ろすことになった。主演を務めたマイケルはなぜ本作を最後の出演作に選んだのか。その偶然と必然の理由について、プロデューサーのコメントを交えて、解き明かす。

「89歳の老人が何か特別なことをやりたがること自体がもう素晴らしいことなのです。(主人公の)バーニーの場合はDデイの記念式典に行きたがった。そして、マイケル・ケインは映画を作りたかった。」(プロデューサー)

マイケル・ケインは最初から、主人公のバーニーとの共通点がいくつかあったという。そのひとつは、バーニーがノルマンディーで行われるDデイに出席するための冒険をし、行方不明になったと警察がツイートしたことから世界中で話題になるという展開について、長年第一線で俳優として活躍してきたマイケルは「メディアのスポットライトを浴びたときに経験した、感情や不安についてとても共感できる」と、思ったという。マイケル自身も X(旧Twitter)アカウントを持っているが、劇中では急に有名人になってしまったバーニーの戸惑いや、不安に思う姿を等身大の姿で演じるマイケルをみることができる。また、マイケルは脚本を受け取った時の年齢と、バーニーが冒険をした年齢がともに89歳だったという偶然も重っていたが、当初はオファーを断ったという。しかし、劇中で描かれる「バーニーとドイツ人退役軍人グループが相互理解をする瞬間するシーンはとりわけ感動的で、ストーリーに”並外れた深み”を与えている」と感じたマイケルは、本作を俳優人生最後の作品として、出演を決意した。

そんなマイケルに対し、プロデューサーのバーン・スタインは、マイケルと現実のバーニーの間に共通するものを次のように見ていた。「89歳の老人が何か特別なことをやりたがること自体がもう素晴らしいことなのです。バーニーの場合はDデイの記念式典に行きたがった。そして、マイケルの場合は映画を作りたかったのです」

マイケル・ケインとグレンダ・ジャクソンという、英国のみならず、映画史に残る名優たちが最後に選んだ映画『2度目のはなればなれ』。マギー・スミスが89歳で華麗なる人生に幕を閉じたことが世界中に知らされたが、主人公のバーニーも、そしてマイケルも89歳で特別なことをする決断をする。その勇気が観る者に深い感動を与える、マイケル・ケインのキャリアの集大成は、いよいよ10月11日に公開されるので、ぜひ劇場で。

『2度目のはなればなれ』は2024年10月11日(金)より全国で公開
監督:オリバー・パーカー
出演:マイケル・ケイン、グレンダ・ジャクソン、ダニエル・ヴィタリス、ローラ・マーカス、ウィル・フレッチャー
配給:東和ピクチャーズ
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