『八犬伝』の原作ファンイベント特別試写会が10月17日(木)に都内で行われ、高山一実、曽利文彦監督が登壇した。

唯一無二の奇想天外な物語で、日本のファンタジー小説の元祖と称えられる「南総里見八犬伝」。1842年に完結してから200年近くの時を超え、現代のエンターテインメントに多大な影響を与え続けている山田風太郎の小説『八犬伝 上・下』(角川文庫刊)を、ダイナミックかつ緻密なVFXを駆使して実写映画化。本作は里見家の呪いを解くため、八つの珠に引き寄せられた若き八人の剣士たちの運命をダイナミックなVFXで描く【虚】パートと同時進行で、180話にもおよぶ物語を悩み苦しみながら28年もの歳月をかけて書き上げた人気作家・滝沢馬琴の創作の神髄、浮世絵師・葛飾北斎との奇妙な友情、そして馬琴を支えた家族の絆が描かれる【実】パートが交錯するこれまでにない新たな『八犬伝』が誕生した。

作品の上映を待ちわびる原作ファンを前に登壇した曽利監督は「ドキドキしながら楽しみにしておりました」と挨拶し、「子供のころは『八犬伝』が大好きで、珠が欲しかった。集めたかった」と笑顔を見せた。そんな原作『八犬伝』について「子どもの心もつかみますし、大人になっても親しみのある、日本人のコアな部分に入ってくる気がします」と思いを語った。また、時を経て本作の公開に至ったことで「こういう形で映画化できたことは幸せ」と語った。

一方で、原作に登場する舞台が自身の出身校の近くにあったという高山は「『八犬伝』というタイトルは幼いころから馴染みがあった」と振り返りつつ「断片的にしか知らなくて。それくらいの認識の子が周りにも多かった」といい、「馴染み深くても、どういう話だっけ?と友達に聞くと、みんな『えーっと』ってなっちゃうくらいの感じだった」と明かし、「今回映画になるとお聞きして、絶好の機会をいただきまして」と笑顔を見せた。

そんな本作を鑑賞し、「贅沢な時間でした」という高山は「ずっと楽しい時間を過ごさせていただきましたし、分かりやすかったです」と称賛し、さらに「馬琴が『八犬伝』にどう向き合ったのかを知れてしまった」と語った。本作の鑑賞前には曽利監督から「長い映画」と聞いていたという高山だが「あっという間。地元のみんなに『見て』と言おうと思って」と絶賛した。また、八人の中で好きな剣士を聞かれた高山は「すごく犬が好きなので八房推しで」と照れ笑いを浮かべた。

イベントでは、作品に関するクイズを実施。原作小説を手掛けた山田風太郎氏の親族からは「山田風太郎の命日が7月28日で、彼が最も尊敬し、慕っていた人物と同じだが、それは誰?」と質問に、高山を含め観客も考え込んだが、曽利監督監督からのヒントをきっかけに「江戸川乱歩」と観客が見事に正解。続けて、本作のTVCMに出演する伊沢拓司からは「八犬伝の時代には本来日本に存在しないアイテムをあえて馬琴は物語に登場させているが、それは何?」という問題が出題され、悩んだ高山が“鉄砲”を当てた。さらに滝沢馬琴役・役所広司からは「馬琴と北斎の友情が見どころの一つだが、2人をつないだ人物は?」という問題に、曽利監督から「大河ドラマ」とヒントが出されると、観客からはすぐに手があがり「蔦屋重三郎」と見事正解した。なかなか即答とはいかなかった3問に高山は「難しかったです。楽しかったです」と笑顔を見せた。

最後に高山は「壮大で、映画ならではの魅力が増している『八犬伝』です。聖地巡礼をされたことがある方もいらっしゃると思うんですけど、映画を見て、さらに『八犬伝』が好きとか、もうちょっと詳しく知りたいと思われた方は館山にいらしてください。私も地元に帰った時に行ってみようかなと思います」、曽利監督は「原作が大好きな人間が作った映画です。皆さんに届くといいなと思います」と本作をアピールした。

【写真・文/編集部】

『八犬伝』は2024年10月25日(金)より全国で公開
脚本・監督:曽利文彦
出演:役所広司
内野聖陽
土屋太鳳/渡邊圭祐、鈴木仁、板垣李光人
水上恒司、松岡広大、佳久創、藤岡真威人、上杉柊平
河合優実/栗山千明
中村獅童、尾上右近
磯村勇斗、立川談春、黒木華
寺島しのぶ
配給:キノフィルムズ
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