第37回東京国際映画祭のオープニング出品『十一人の賊軍』舞台挨拶が10月28日(月)に丸の内ピカデリーで行われ、山田孝之、鞘師里保、佐久本宝、千原せいじ、一ノ瀬颯、野村周平、小柳亮太、本山力、白石和彌監督が登壇した。

10月28日(月)~11月6日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催される第37回東京国際映画祭。
第37回東京国際映画祭のオープニング出品として、ワールドプレミア上映された『十一人の賊軍』。

「日本侠客伝」シリーズ(1964~)、「仁義なき戦い」シリーズ(1973~)などを手掛け、東映黄金期の礎を築いた脚本家・笠原和夫が1964年に執筆した幻のプロットが、60年の時を経て映画化される。明治維新の中で起きた“戊辰戦争”の最中、新発田藩(現在の新潟県新発田市)で繰り広げられた歴史的事件・奥羽越列藩同盟軍への裏切り=旧幕府軍への裏切りのエピソードをもとに、捕らえられていた11⼈の罪⼈たちが「決死隊」として砦を守る任に就く物語——この巨匠が手掛けたプロットを、企画・プロデュースの紀伊宗之と白石和彌監督、脚本の池上純哉たち平成ヤクザ映画の金字塔『孤狼の血』チームが受け継ぎ、令和に新たな集団抗争劇として誕生させる。その一大プロジェクトの主演には現代の日本映画界で双璧をなす超実力派俳優山田孝之と仲野太賀の2名が抜擢され、死と隣り合わせの戦場を我武者羅に駆け抜ける。それぞれの思惑が錯綜し、一瞬たりとも気が抜けない裏切りと葛藤の物語が2開幕。運命と対峙する激闘が日本人の奥底に燻る反骨精神に火をつける。

主演の山田は「どうも山田孝之です」と始め、「私が山田孝之です。山田です」と何度も挨拶をすると会場からは笑い声が起き「視点を変えると感じ方が変わってくる作品で時代劇ですけど現代に置き換えても同じようなことが感じ取れると思います。山田です」と本作の魅力を語ると共に会場を沸かせた。また、鞘師は「映画に初めて出演させていただき、先輩たちにたくさん支えていただきながら頑張りました。ですが、作品の中では戦う皆さんを支えていけるように頑張っておりますので是非見届けていただければと思います」と意気込みを語った。

そして千原は「今日は皆さんラッキーです」と前置きし「今日は年に3回ある今年最後の足が長い日。綺麗な俺を見れました」と貴重な日だったことを明かすと会場からは大きな笑いが起こった。本作で二枚目役の一ノ瀬颯は自身の役名を名乗るのが辛かったといい、本作で共演している阿部サダヲに挨拶をした際に「二枚目役の一ノ瀬颯ですと気まずそうに言ったのですが、“二枚目ハハッ”と苦笑いをされたことです」と印象に残ったエピソードを披露した。

第37回東京国際映画祭のオープニング作品でワールドプレミア上映となった本作について白石監督は「映画にとって一番大切な日を東京国際映画祭のオープニングという形で皆さんと迎えられたことを心より感謝いたします」と喜びを見せ、名脚本家・笠原和夫原案という本作のプロットの魅力を「名もなき若者たちや戦争の中でも名もなき人たちが犠牲になることを多く書かれていて、その中でどういう生き方をするのかを明確にこのプロットにも残っていた」と話し「どうしてもこの時代に描いていろんな人に観てもらいたかった」と60年の時を経て映画化に至る経緯を語った。

本作で死罪となり命懸けの過酷なミッションを強いられた罪人の一人“政”を演じている、山田は自身の役柄について「妻の元に帰るそれだけですね。そういった行動が他の人から見ると自分勝手で裏切り者だとも見えるんですけど、彼からすると妻の元に帰る事が正義なので、コソコソしていつか逃げるぞと隙をうかがっている。見事な姿の消し方をしていると思います」と話すと共演者たちも頷き、笑顔を見せた。また、政と同様に罪人"なつ"を演じた鞘師は「愛がテーマの女性なのかなと思い、セリフなどに分かりやすく描かれている訳ではないですが、心の動き方を観ていただける役柄なのかなと思います」と自身の役柄について語った。

最後に白石監督は本作の魅力を「活劇なエンターテインメントとして作りましたのでまずはそこを心から楽しんでいただけるといいなと思います。侍最後の時代に名もなき者たちの魂の叫びと生き様を見届けていただければ嬉しいなと思っています」と語った。

【写真・文/編集部】

第37回東京国際映画祭は2024年10月28日(月)~11月6日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて開催