第37回東京国際映画祭のコンペティション部門『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』の舞台挨拶が11月1日(金)にTOHOシネマズ日比谷で行われ、大九明子監督、萩原利久、河合優実、伊東蒼、黒崎煌代が登壇した。
10月28日(月)~11月6日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催される第37回東京国際映画祭。ジャルジャルの福徳秀介が2020年に小説家デビューを果たした珠玉の恋愛小説を実写映画化した『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』。監督を務めるのは映画『勝手にふるえてろ』(2017)、『私をくいとめて』(2020)、「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」(2023/NHK)など、数々の話題作を手がける大九明子。個性的かつリアリティあふれる女性主人公を描くことが多かった監督が、恋愛作品としては初の男性主人公の物語に挑戦。主人公の冴えない大学生・小西徹を萩原利久、小西が恋に落ちるヒロイン・桜田花を河合優実が演じている。今最も話題の俳優を迎え、観客や視聴者から絶大なる共感を呼ぶ大九監督の新境地にして最高傑作が完成した。
冒頭で萩原は「こういった場で皆様に見ていただけるということがうれしいです。どんな感想が出てくるのか、どんな風に届くのか、そわそわするしている部分と楽しみな部分のどっちもがいる状態です」、河合は「東京国際映画祭のコンペティション部門という光栄な場所に出品されるということが喜ばしいと思っています。なかなかない機会ですので、このような場で見に来てくださった方と顔を合わせることがうれしく思っています」と挨拶した。
本作については、プロデューサーから原作小説の映画化プロジェクトがあり「ぜひご一緒したい」と話を受けたことがきっかけだという大九監督。そんな原作では「とあるシーンで登場人物の一人が熱量を持ってしゃべりだすシーンがあって、小説としてはあり得ないページ数が繰り広げられるのを読んで、これを映像にするのはものすごくチャレンジングで面白そうだなとイメージが湧きました」と振り返った。
本作で“冴えない大学生”という役を演じる萩原は「要素はあるんですけど、そういうキャラクター的な部分から入るのが危険なのかなと思いまして。小西が考えることや行動を一つ一つ考えてみることから始めた」というが「共感できる部分と共感が難しい部分があった」という。そのうえで「演じる上では自分の中できれいにして臨みたい。普段だったら正解を探して、撮影が始まる前に決めていくタイプなんですけど、今回はそれが難しくて。自分の中では正解を決めずに、その代わりに選択肢の可能性をいつもの何倍も考えて、現場でお芝居をしたり、現場のものに触れたり、いろんな要素から段取りをしていくなかで、自然と会話をしていく中で見つかっていくものを信じてやろうというのがアプローチの仕方」と本作での役作りについて語った。
一方で河合は「お団子頭ということもそうですし、彼女の姿勢だったり、衣装だったり、メイクだったり、外堀を埋めるように」作り上げたといい、「脚本を読んだり小説を読んだりしても小西の目線で桜田が語られるので、最初は小西から見た桜田、観客から見た桜田、外から見たその人のイメージをヒントに作っていった」と明かした。
また、「原作を読んだときに文章から、さっちゃんが持つ温かさというか、優しい柔らかい、一緒にいると楽しくなるんだろうなという印象を受けて、読み終わった後気にさっちゃんが大好きとなった」と笑顔を見せた伊東は「映画を見たみなさんにもそう思っていただけるさっちゃんでありたいと思った」と明かした。上映を控え、大九監督は「私にとっても特別な映画ですし、皆さんにごらんいただけることはとても光栄に思っています」とメッセージを送った。
【写真・文/編集部】
『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』は2025年4月より全国で公開
監督・脚本:大九明子
出演:萩原利久
河合優実、伊東蒼、黑崎煌代
安齋肇、浅香航大、松本穂香/古田新太
配給:日活
©2025「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」製作委員会
第37回東京国際映画祭は2024年10月28日(月)~11月6日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて開催