第37回東京国際映画祭において『ゴジラ 4Kデジタルリマスター版』ジャパンプレミアが11月3日(日)にTOHOシネマズ日比谷で行われ、山崎貴(映画監督)、鈴木儀雄(初代ゴジラ造形助手)が登壇し、MCを笠井信輔が務めた。

10月28日(月)~11月6日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催される第37回東京国際映画祭。ゴジラ生誕70年を記念して、ジャパンプレミア上映される『ゴジラ 4Kデジタルリマスター版』。1954年に公開され、961万人の動員を記録、その後世界中を席巻した怪獣映画の金字塔が、70年の時を経て“新4K”版で甦る。戦争と核拡散への警鐘をテーマにしながら、東京を舞台に巨大生物と人類との決戦を描く娯楽大作に仕上がっている。ゴジラが世界中に与えたインパクトは大きく、日米でシリーズ作品が製作され続けている。今回行われた舞台挨拶には、『ゴジラ−1.0』の山崎貴監督、初代ゴジラの造型助手としてスーツ制作に参加した鈴木儀雄を迎え、当時の苦労や、今まで話す事が出来なかったエピソードなどを披露した。

「(ゴジラ生誕70周年という)記念すべき日にここに立たせてもらってありがたく思っていますと挨拶した山崎監督。鈴木は「19歳の時に最初の『ゴジラ』の制作に参加させてもらいました。多摩美術大学の彫刻家の1年生だったんですけど、お金がないと言っていたら同級生が、『おじさんが『ゴジラ』という映画を作るらしいから行ってみたらどうか』と話をもらった」と『ゴジラ』への参加の経緯を振り返った。

しかし、その制作では苦労も多かったようで、特に大変だったのは「材料です。プラスチックもあまり使ったことがないですから」と振り返り、「プラスチックの工場とか売るところを探して。それをどうやって使うか、どうやって作っていくかも初めてなことで、何度も失敗したり」と明かした。

そうした中で最初に作ったゴジラは動かなかったということで「重くてね。役者さんも体が大きくて力があって。中に入るんですけど、怒るわけです。芝居ができないっていうわけです」と振り返った。また、当時の写真は白黒のものしかないが、実際に作ったゴジラについて鈴木は「グレー」といい、「もちろん1色ではないです。緑色、茶色を使ってバランスは作るんですけど」と明かした。さらに撮影現場では「役者さんが一番大変だったと思う」と話す鈴木は「ライトの数がたくさんで熱い」といい、「汗の水でじゃぶじゃぶというくらい」だったという。

その『ゴジラ』を小さいころにテレビで見たという山崎監督は「怖くて。モノクロじゃないですか。ただひたすた怪獣が街を壊して人間はなすすべがない」と振り返った。また、『ゴジラ-1.0』の制作に当たっては「かなりインスパイアされている」という山崎監督は「初代の好きなところはいっぱい使わせていただいています」と伝えた。

ゴジラが街を破壊するシーンでは撮りなおしを行うこともあったそうで「そういうところはたくさんある。一つや二つではない。作る人も大変で、壊れるように作る。石膏とかいろんな材料を使って、ゴジラが踏むと壊れるように仕掛ける。失敗すると大変」といい、「フィルムも高い」と当時の苦労を語った。

最新作『ゴジラ-1.0』を手掛けた山崎監督は「僕らが作るものは初代の反核と反戦は大事にしないといけないと思います。もちろんいろんなタイプのゴジラ映画があっていいんですけど、自分としては初代が持っていた気持ちは大事にしていきたい」と語った。

フォトセッションでは、歴代の『ゴジラ』シリーズ制作に携わった41人の関係者が登場し、会場を沸かせた。

【写真・文/編集部】

第37回東京国際映画祭は2024年10月28日(月)~11月6日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて開催