第37回東京国際映画祭のアニメーション部門『野生の島のロズ』トークショーが11月4日(月)にTOHOシネマズ日比谷で行われ、宇垣美里、東京国際映画祭アニメーション部門プログラミング・アドバイザーの藤津亮太が登壇した。

10月28日(月)~11月6日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催される第37回東京国際映画祭。本作『野生の島のロズ』は、野生の島で起動した最新型アシストロボットの「ロズ」に、ひょんなことから愛情が生まれ、動物たちと共に生き、島の危機を乗り越えていく感動の物語。原作は、アメリカの作家ピーター・ブラウンによる著書『野生のロボット』シリーズ。監督・脚本は、ディズニーで経験を積み『リロ&スティッチ』(2002)の監督を務め、ドリームワークスで『ヒックとドラゴン』(2010)などを手掛けてきたクリス・サンダース。本国の声優キャストには、ロボットのロズ役にルピタ・ニョンゴをはじめ、ペドロ・パスカル、キャサリン・オハラ、ビル・ナイ、キット・コナー、ステファニー・シュウら豪華キャストが声を吹き込んでいる。

宇垣は本作の第一印象を「ファーストカットの自然の奥行き全てがあまりにも美しかったです。海外の自然の描き方は日本と少し違う印象でしたが、観て育ってきたジブリの森や自然の表現と似通った所を感じ、抽象画のような、すべてのシーンをポストカードにして!と思って観ました」と本作の映像美に驚きと感動をみせた。本作の美術のスタッフは3Dで作っているが、印象派のモネやディズニー作品の『バンビ』(1951)やスタジオジブリの『となりのトトロ』(1988)参考にして作っていると情報を聞くと「ロズの事を見た時にラピュタも思い出しました」と話し、主人公ロズの魅力について「造形のかわいらしさと後半の彼女の変化はあるべきことを越えていく姿に共感しますし、大好きになりました」とプログラミングを越えて変化していくアシストロボットロズの魅力を語った。

そして、動物が47種類出てくる本作で印象に残る動物については「特にキツネのチャッカリーですね」と話し「悪ぶったキャラクターがそもそも好きなのもありますが、彼が見せる弱さや鼻で笑っていたような”家族”に自分が入っていき、守りたいという思うところがドリームワークスの『長ぐつをはいたネコ』(2011)など(自身が)好きなキャラクターをまた出してきて!とすっかり虜だな思いました」とキャラクターへの愛を語った。さらにドリームワークス・アニメーションの作品が好きだという宇垣は「大人の目線でも子供の目線でも楽しめるという層の厚い作品が多いという印象があります」と魅力を語った。
 
冒頭以外での心に残るシーンについて聞かれると「海を描くシーンやガンたちが一斉に飛び立つシーンの壮大さは息をのむというものがありました」とロズが育てたガンの子供が冬を越すために飛び立つシーンを挙げ、さらにガンの大群が2万8千羽、蝶々は8万羽出てきていると知ると宇垣は「あのシーンも素晴らしかったですよね」と圧巻のシーンに興奮を見せた。また、物語の展開で印象に残ったシーンを聞かれると「ここで終わると思いきや、更に更にと展開が進んでいくので、目を離す暇もなくとてもおもしろい」と話し、野生動物たちとロズが厳しい冬を一緒に越えるシーンを挙げ「本能を越えて一緒に生きることはできるはずというメッセージを感じて、あのシーンのピースフルな雰囲気が好きでした」と語った。
 
さらに、本作から受け取ったメッセージについて「親の目線で観てもグッとくるものがあるでしょうし、私は巣立った娘として心を揺さぶられるシーンがあって見送る、そして旅立つというメッセージも感じられました」と様々な目線で観ることができる本作の魅力を話し、ロズが育てるガンの子供キラリというキャラクターの魅力を「目の輝きと成長を一緒に追いかけたような気持ちになって本国ではこの成長を見守りたくて何回も観た人がいるのではないかと思いました」と話し、世界興行収入が2億6,900万ドル(2024/11/04現在、Box Office Mojo調べ)を超える大ヒットとなっている本作の人気の理由を話した。
 
最後に「おそらく今後の賞にも重要な作品となってくると思うので見逃し厳禁で誰と観るかで感想が変わってくると思います。違う視点から楽しむことができる作品で、後から話すのも含めて経験となる素晴らしい作品を楽しんでいただけたらと思います」と公開に向けてメッセージを送った。

【写真・文/片岡由布子】

『野生の島のロズ』は2025年2月7日(金)より全国で公開
監督・脚本:クリス・サンダース
声の出演:ルピタ・ニョンゴ、ペドロ・パスカル、キャサリン・オハラ、ビル・ナイ、キット・コナー、ステファニー・シュウ
配給:東宝東和、ギャガ
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第37回東京国際映画祭は2024年10月28日(月)~11月6日(水)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて開催