『正体』の完成披露舞台挨拶が11月5日(火)に丸の内ピカデリーで行われ、横浜流星、吉岡里帆、森本慎太郎、山田杏奈、山田孝之、藤井道人監督が登壇した。

藤井道人監督が手掛ける、極上のサスペンスエンタテイメントが誕生する。日本中を震撼させた殺人事件の容疑者として逮捕され死刑判決を受けたが脱走し潜伏を続ける主人公の鏑木(横浜流星)。沙耶香(吉岡里帆)は、東京でフリーライターをしている鏑木が家がないところを助け、一緒に暮らし指名手配犯だと気づくが彼の無実を信じる。和也(森本慎太郎)は、大阪の日雇い労働者として共に工事現場で働く鏑木と親しい友人となるが、犯人ではないかと疑う。舞(山田杏奈)は、長野の介護施設で働く鏑木と出会い恋心を抱く。刑事の又貫(山田孝之)は、潜伏しながら各地に出没し日本を縦断していく鏑木を追う。4人が出会った鏑木は、それぞれまったく違う姿をしていた―。4人の視点から描かれる、鏑木の本当の“正体”とは?彼は、凶悪犯なのか、それとも無実の青年なのか―。

本作について「サスペンスですがエモーショナルな人間ドラマになっていてエンタメに仕上がっています」と紹介した横浜は「老若男女問わず見ていただけると思うし、見ていただきたいです。自分の中で一つの集大成となった作品が4年の月日を経て完成し、みなさまにお届けできることをうれしく思います」と挨拶した。吉岡は「自分の人生を生きられていることがどれだけ尊くて、生きている喜びを最後に感じていただける作品」と語った。

森本は「すごく考えさせられて、自分の人間関係だったり、信じるものは何なのかだったり、いろんなメッセージを受け取りまして。もう一回、改めて映画館で見てこの世界観に浸りたい」と語った。山田杏奈は「自分自身の人生だったり、周りにいる人の人生が愛おしくなるような感覚を憶えてました」と本作から受けた印象を語った。また、「信じることの大切さだったり、信じることの危うさを感じました」という山田孝之は「リアルと通ずるところがあると思いました」と語った。

5つの顔を持つ逃亡犯を演じた横浜は「誰からも自分を信じてもらえない状況に陥っていて、その中で脱獄をする。正しいとは思えない行動ですけど、どんな状況においても、どんなことがあっても、彼の真意や目的を失わないようにすることを大事にしていました」と役への向き合い方を明かし、「それを維持するのは苦しく、苦労しました」と撮影時の心境を吐露した。また、「5つの顔と言っていますが、別人格ではないので、しっかりと彼の心の部分、鏑木としていることを意識していました」といい、「リアルを追求しました。やりすぎになるとコスプレになってしまう。街の中でいても紛れられるようにと考えました」と振り返った。

本作では、昨年夏と今年の初めに2度に分けて撮影が行われたというが、「夏と冬に分けて撮れたことは贅沢だし、幸せだと思います」という横浜は、夏の撮影後に「監督からつないだものを見せていただいて。より強い意志をもって鏑木を生きることができました。そのことによって整理もできたし、シーンも追加されたりして」と良い影響があったことを明かしたが「ただ、鏑木として気持ちを維持するのは本当に辛かったです」と振り返った。

【写真・文/編集部】

『正体』は2024年11月29日(金)より全国で公開
監督:藤井道人
出演:横浜流星
 吉岡里帆、森本慎太郎、山田杏奈
 前田公輝、田島亮、遠藤雄弥、宮﨑優、森田甘路
 西田尚美、山中崇、宇野祥平、駿河太郎/木野花、田中哲司、原日出子、松重豊
 山田孝之
配給:松竹
©2024 映画「正体」製作委員会