染井為人による小説を実写映画化した『正体』が11月16日に第44回台北金馬映画祭にてインターナショナルプレミア上映を行った。
藤井道人監督が手掛ける、極上のサスペンスエンタテイメントが誕生する。日本中を震撼させた殺人事件の容疑者として逮捕され死刑判決を受けたが脱走し潜伏を続ける主人公の鏑木(横浜流星)。沙耶香(吉岡里帆)は、東京でフリーライターをしている鏑木が家がないところを助け、一緒に暮らし指名手配犯だと気づくが彼の無実を信じる。和也(森本慎太郎)は、大阪の日雇い労働者として共に工事現場で働く鏑木と親しい友人となるが、犯人ではないかと疑う。舞(山田杏奈)は、長野の介護施設で働く鏑木と出会い恋心を抱く。刑事の又貫(山田孝之)は、潜伏しながら各地に出没し日本を縦断していく鏑木を追う。4人が出会った鏑木は、それぞれまったく違う姿をしていた―。4人の視点から描かれる、鏑木の本当の“正体”とは?彼は、凶悪犯なのか、それとも無実の青年なのか―。
台湾の首都・台北市で現在開催中の第44回台北金馬映画祭(11月7日~24日)は、昨年は北野武監督、役所広司、妻夫木聡ら日本映画界を代表する面々が参加し話題を呼んだ台湾最大の映画祭。台湾を代表するスター、チャン・チェンをエグゼクティブプロデューサーに迎えた日本・台湾の合作『青春18×2 君へと続く道』を手掛けた藤井道人監督にとって台湾は特別な場所。今年3月に台湾で公開された同作は、初日から興行収入第1位を記録、その後もアジア各地で旋風を巻き起こしている。時代性とエモーショナルな作風から台湾でも高い人気を誇る藤井監督。その最新作が台北金馬映画祭で監督の登壇と共にインターナショナルプレミアが実施されるとあって、台北松山空港では多くの熱狂的なファンがボードを掲げて藤井監督の台北訪問を歓迎した。
11月16日に『正体』の上映が行われたMUVIE CINEMASは、『青春18×2 君へと続く道』でも藤井監督の舞台挨拶が実施された台北を代表する映画館。縁のある劇場に詰めかけた観客の大きな拍手と歓声に包まれて登場した藤井監督は、4年前に遡る企画のきっかけ、俳優・横浜流星の魅力、本作に込められたテーマなどを熱く語った。上映直後の舞台挨拶とあって、場内を埋め尽くしたファンからは質問が続出。なかには「人生に迷っていたが、この映画に救われた」と涙ながらに語る18歳の観客の姿も。
その言葉に対して藤井監督は「悩んだりすることは18歳でも、38歳(藤井監督の年齢)でも同じようにあるけれど、いつでもフラットに悩みを相談できる仲間・友達・家族・自分の周りにいる人を大事にすることが、自分の心を軽くすることなんだ、ということを大切に思っています。カッコつけようとすると人生はうまくいかない。悩みを自分のなかに抱え込まずに、仲間を大事にしてください」と優しく語りかけると場内はさらなる大きな拍手に包まれた。上映後のQ&Aを終えた観客からは「これまでも藤井監督の作品を数多く観てきたが、『正体』は監督の‟人を見つめる優しさ“に溢れている」などの感想が寄せられた。
藤井監督はイベント後に「『青春18×2 君へと続く道』の舞台挨拶で訪れた映画館なので、すごく感慨深かったです。どんな質問がくるかドキドキしていましたが、台湾ならではの、あたたかい雰囲気で、沢山の質問もしてくれて、拍手も大きくてとても嬉しかったです。台湾には(横浜)流星のファンも多いので、いつかまた、流星と一緒に台湾に来ることができたら…と思います」とコメントを寄せている。
『正体』は2024年11月29日(金)より全国で公開
監督:藤井道人
出演:横浜流星
吉岡里帆、森本慎太郎、山田杏奈
前田公輝、田島亮、遠藤雄弥、宮﨑優、森田甘路
西田尚美、山中崇、宇野祥平、駿河太郎/木野花、田中哲司、原日出子、松重豊
山田孝之
配給:松竹
©2024 映画「正体」製作委員会