シンデレラストーリーのその先を描いたセクシーでゴージャスでユーモラスな人生賛歌『ANORA アノーラ』の本編映像が解禁された。

本作『ANORA アノーラ』は、ニューヨークを舞台に身分違いの恋という古典的な題材を21世紀風にリアルに映し出した、アンチ・シンデレラストーリー。幾度となくアメリカ社会の「声なき声」をすくいあげ評価されてきたショーン・ベイカーが、自らの幸せを勝ち取ろうと全力で奮闘するロシア系アメリカ人の若きストリップダンサー、アノーラの等身大の生きざまを丁寧かつユーモラスに描写し、清濁合わせ呑む人間らしさに溢れている。主役のアノーラには、本作が映画初主演となる新星マイキー・マディソン。アノーラに夢中になるお調子者のロシア新興財閥の息子イヴァンを「ロシアのティモシー・シャラメ」が愛称のマーク・エイデルシュテインが演じている。セックス、美、富というパワーゲームの中で利用されながらも、自らの幸せを求め続ける人間たちへの賛歌を、ユーモアを交えながら真摯な眼差しで描きだした快作だ。階級意識や偏見に抗うアノーラの圧倒的パワーとエネルギーが、凝り固まった今の世の中を鮮やかに蹴り飛ばす!約束されたハッピーエンドなんて存在しない。物語は自分で作るしかない。ちょっとビターで最高に刺激的な予想を超える結末にぜひ期待して欲しい。逆境に立ち向かう強気でセクシーなアノーラに、きっと誰もが勇気づけられ、元気をもらえるはず―。

今回解禁された本編映像は、アノーラが職場の友人のルルを伴って訪れる、大富豪の息子イヴァンの豪邸での年越しカウントダウン・パーティーのシーン。アメリカの大みそかは友人と乾杯したり、新年午前0時あわせのカウントダウンをしたり可能性に満ちた新年を待ちわびながら年を越すのが定番だが、ロシア新興財閥の息子のイヴァンもアメリカ流に年を越す。広いロビーには女性の裸体を模った大きな氷像が鎮座し、DJの流す大音量の曲で踊り狂う来客たち。大量のアルコールと怪しげな薬物も摂取して大いに盛り上がったカウントダウンの後は、勢いのままテラスから花火を打ち上げパーティーはクライマックス。主催者のイヴァンはご満悦、アノーラもパーティーを存分に楽しんだ様子がうかがえる。

この一見クレイジーなだけに見えるパーティーの映像には、実は監督が最も好きなシーンのひとつが含まれているという。「アノーラはパーティーにビジネスのために来たけれど、お金をもらって呼ばれたわけではないから、その時点でビジネスとプライベートの境界線はすでに曖昧になっているよね。イヴァンは魅力的で、彼女はイヴァンが気になって仕方がない。僕が大好きなのはカウントダウンのシーンで、アノーラが彼に見とれて数をいくつまで数えたか忘れてしまい、ハッとしてルルを見てまた素に戻る表情の移り変わりだ。とてもキュートなんだよ。些細なシーンなんだけど、仕事場のクラブでの他の客への声のトーンや態度と比べると、彼に対して好意を抱いていることがはっきりわかると思う」と監督は語っている。また、監督がこのシーンでイヴァンを熱狂の中心にいる人物として描くのに参考にした映画は『華麗なるギャツビー』(1974)。豪華絢爛な宴で魅力をふりまくギャツビーを意識して演出したというイヴァンの求心力にもぜひ注目して欲しい。

ちなみに、このパーティー会場になっているイヴァンの邸宅は、監督のショーン・ベイカーがGoogleで「ブルックリンで最も高価な邸宅」と検索して出てきた豪邸を借りて撮影している。売りに出されていた際は3,000万ドルで、現在の為替相場で換算すると約47億円の超高級物件。このパーティーのシーンはたった一晩で撮影された。契約彼女から始まったアノーラのシンデレラストーリーと、その想定外の結末を劇場で見ていただきたい。

本編映像

『ANORA アノーラ』
監督・脚本・編集:ショーン・ベイカー
出演:マイキー・マディソン、マーク・エイデルシュテイン、ユーリー・ボリソフ、カレン・カラグリアン、ヴァチェ・トヴマシアン
配給:ビターズ・エンド ユニバーサル映画
©2024 Focus Features LLC. All Rights Reserved.