『GEMNIBUS vol.1』の舞台挨拶が6月29日(土)にTOHOシネマズ日比谷で行われ、『フレイル』の奥平大兼、莉子、本木真武太監督が登壇した。

東宝が新たに手掛ける才能支援プロジェクト「GEMSTONE Creative Label」。フォーマット、メディア、そして実績の有無を問わず、クリエイターが自由に才能を発揮できる場を提供するという目的で東宝の若手社員が立ち上げた。本レーベル初の劇場公開作品として4人の新進気鋭な監督たちによって創り出された短編オムニバス映画『GEMNIBUS vol.1』が6月28日(金)から7月11日(木)まで限定公開される。

今回の舞台挨拶には、『GEMNIBU vol.1』の内の1本であるSF学園ゾンビ映画『フレイル』の主演・奥平大兼と莉子、本木真武太監督が登壇した。本作は、少子高齢化問題を抱える近未来の日本を舞台に、老人が国の施策でVR空間〈アナプシー〉で高校生のアバターとして“若返り”を図るが、ある日、何者かによってVR空間にゾンビウィルスが放出され肉体とアバターが危機に晒されるSF学園ゾンビ映画。奥平が演じるのは主人公・明が高校生活を楽しむVR空間の“アバター”で、そこで出会う女子高生・めい子を莉子が演じる。

VR空間で青春を追体験する老人ということで、見た目は高校生だが中身は老人という難しい役どころに「おじいちゃんの名残を残したほうがいいのかとか。やりすぎてもよくないなという感じで、手探りな感じでいたんですけど、後半は実年齢はおじいちゃんくらいの年というのは関係なしにお芝居をしていた」と撮影を振り返った奥平。一方で莉子は「小道具でお煎餅がありましたよね。小道具とかで工夫をしてくださったので私たちは意識することはそんなになく、自然体で演じさせていただいた」と明かした。

劇中ではアクションを披露する奥平だが「手持ちで躍動感あるようなカットでやっていたから、誰かがミスしたらNGになっちゃう。躍動感がありながらもがんばってた」と振り返った。「奥平さんのアクションの安定感のおかげで。体幹がすごくて。体重を小指で支えるくらいの安定感」と絶賛する本木監督は「3カットくらいで」と考えていたよりもスムーズな撮影ができたという。

本作で初挑戦だったことについて「ギターを演奏するのが初挑戦でした」という奥平だが、「私も一緒にやりました。(奥平が)めっちゃ上手で。上達が早くて」という莉子は「私が1~2個くらい覚えた頃に全部弾き終わっていて。上達が早すぎて、スタッフさんみんなびびっていましたよ」と明かした。さらに奥平は「莉子ちゃんは歌うシーンもある」というと、莉子は「歌うのが本当に苦手で。正直NG出したいくらい苦手で。ボイトレに通わせていただいてがんばってやりました」と苦笑いした。

また、本木監督について「現場で監督の頭の中に“こういう風にする”というものを感じたので、監督に相談すれば頭にあるものをぶつけてくれるという安心感があって。役者にとって心強かった」と監督とのタッグについて語った奥平。本作では海外制作チームとの共同制作ということで、撮影現場でも「(普段は)“よーい、はい”って言うんですけど、今回の現場は“スタンバイ”なんです。衝撃すぎて。“レディ、アクション”なんです」と驚きを隠せない様子の奥平。莉子は「本読みの時に台本が横書きだったんです。その時点でだいぶ違うなと。現場に行ってからは監督がしれっと英語がペラペラで、頼もしかったです」と明かした。

「言葉の壁と文化の壁があるので、事前準備をがんばってやろうと力を注ぎこんだ」という本木監督は「外国人スタッフの方々がリラックスしてみんなで楽しくやろうという雰囲気があって。これはこれで日本に取り入れていっていいんじゃないかとチャレンジしました」と明かした。

さらに、今後挑戦したいことを聞かれると、自身が21歳と、周囲も就職活動が近づく年であることから「若々しく遊べるのは今年最後かなと思って、今年の夏は気合いを入れて本気で遊んでやろうと。挑戦という意味でも、若々しくいようと掲げています。悔いのないように」と答えた奥平。莉子は「今回の作品でもちょっとやらせていただいたんですけど、本格的なアクションをやりたい」というと、奥平は「似合いそう、見たいな。絶対に似合うと思う」とすすめた。本木監督は「今回初めての作品で、大兼くんと莉子ちゃんに救われて。こんなにいい役者と出会えたことは自分の財産だなと。僕は縦型映画ではカンヌでグランプリを獲ってレッドカーペットを歩いて、その時すごく心細かったんですけど、将来的にお二人とレッドカーペットを堂々と歩けるように。お二人を海外で売り出していく作品を撮りたい」と語った。

【写真・文/編集部】

『GEMNIBUS vol.1』は公開中
監督:上西琢也、平瀬遼太郎、ちな、本木真武太
配給:TOHO NEXT
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