『室町無頼』の記者会見が1月7日(火)に日本外国特派員協会で行われ、大泉洋(蓮田兵衛役)、入江悠監督が登壇した。

時は室町、“応仁の乱”前夜の京―――。大飢饉と疫病の連鎖、路上に重なる無数の死骸。そんな混沌の世の中に風の如く現れ、巨大な権力に戦いを挑んだ者たちがいた…。蓮田兵衛、日本史上、初めて武士階級として一揆を起こし、歴史にただ一度だけその名を留める男。彼の元に結集した「アウトロー=無頼」たちの知られざる闘いをドラマチックに描く。己の腕と才覚だけで混沌の世を泳ぎ、密かに倒幕と世直しの野望を抱く無頼漢で剣の達人である主人公・蓮田兵衛を演じるのは大泉洋。兵衛に拾われ、身も心も成長する才蔵役に抜擢されたのは、なにわ男子の長尾謙杜。その才蔵に棒術を教え込む老師に柄本明、民を虐げ、贅沢にふける有力大名・名和好臣には北村一輝、高級遊女にして、男たちの間を漂う絶世の美女・芳王子役を松本若菜が演じる。そして300人もの荒くれ者を抱え、幕府から今日の治安維持と取り締まりを任される悪党一味の首領・骨皮道賢に扮するのは堤真一。兵衛とは悪友であり、宿敵ともなっていく。

冒頭では「今、世界で日本の時代劇が盛り上がっていますので、『室町無頼』も世界に羽ばたく映画になっていければいいなと思っています」と挨拶した大泉は、英語で大泉の出演作が紹介される中で『ゲゲゲの鬼太郎』が紹介されたことに触れて「ねずみ男をやりました。なんでもやります」と笑いを誘った。続けて、入江監督は「完成までに8年間かかっていまして、僕が今までに作ってきた映画の中で最長の期間。いろんな困難があったんですけど、ようやく完成して、今週IMAXで、来週一般上映が始まります」と感慨深げに挨拶すると会場は大きな拍手に包まれた。

“この役をやるために生まれてきた”と紹介された大泉だが「いろんな要因があって8年かかってしまって。8年前ということは43歳だったわけで、その頃は8年後になるとはあまり考えていなかったんですけど、8年経ったら自分がこんなにも老いるのかと驚きまして。是が非でももっと早くやらないといけない映画だったんだなと思う」と話し、「満身創痍で肩は痛い、腰は痛いでやっていまして。8年前だったらもっと楽に撮影できたんだなと思うと、もっと早く撮影すればよかったと思う」と笑いを誘った。

また、入江監督は「とにかく人が多い。こんなに人間が出てくる日本映画はない」といい、「合戦シーンは野原でできるんですけど、室町時代を撮れる場所が今日本になくて、それをどう作っていくのかで探し回っていたら年月が経った」と明かした。その入江監督は、“時代劇を撮ってみたいと思ったのはいつ頃ですか?”という質問に「子供の頃に『水戸黄門』とか『暴れん坊将軍』をやっていたので見ていた」といい、さらに「剣道をやっていたので自然と時代劇が好きになって10代のときは見ていた」と振り返った。

撮影では「大泉さんが長尾謙杜くんと一緒にいるシーンが多いんですけど、2人の思い出になるようなことができたらいいねと話していて。師弟関係で彼に教えていくところで、大泉さんがこういうことをやって、長尾くんがそれを受けるみたいなそういう芝居を現場で作っていった。脚本になかったところで撮影現場で膨らんでいって楽しかったです」と明かした。

また、「私もたまにはかっこいい役をやってみたいなと。娘にかっこいいところを見せたいと思ってこの役をやることを決めた」と明かす大泉だが「芳王子という松本若菜さんが演じる美しい女性と布団にいるシーンがあって、結局娘に見せることができない映画になってしまったことが残念」と笑いを誘った。

さらに本作で演じる際には「ここまでヒロイックな役はやったことがなかったものですから、常に心の中に、日本のスーパースターであるトシロウ・ミフネを胸の中に秘めておりまして」と話す大泉は、立ち回りのシーンでの撮影の際には「名台詞である『斬られりゃいてえぞ』と真似をしてから挑んでいました。気持ちは三船敏郎でいた」と語った。

【写真・文/編集部】

『室町無頼』は2025年1月17日(金)より公開
監督・脚本:入江悠
出演:大泉洋
 長尾謙杜、松本若菜
 遠藤雄弥、前野朋哉、阿見201、般若、武田梨奈
 水澤紳吾、岩永丞威、吉本実憂、土平ドンペイ、稲荷卓央、芹澤興人
 中村蒼、矢島健一、三宅弘城
 柄本明、北村一輝
 堤真一
配給:東映
©2025『室町無頼』製作委員会
IMAX® is a registered trademark of IMAX Corporation.