時代を切り拓いた知られざる“無頼”を描く『室町無頼』で長尾謙杜が演じる才蔵の場面写真が解禁された。
時は室町、“応仁の乱”前夜の京―――。大飢饉と疫病の連鎖、路上に重なる無数の死骸。そんな混沌の世の中に風の如く現れ、巨大な権力に戦いを挑んだ者たちがいた…。蓮田兵衛、日本史上、初めて武士階級として一揆を起こし、歴史にただ一度だけその名を留める男。彼の元に結集した「アウトロー=無頼」たちの知られざる闘いをドラマチックに描く。己の腕と才覚だけで混沌の世を泳ぎ、密かに倒幕と世直しの野望を抱く無頼漢で剣の達人である主人公・蓮田兵衛を演じるのは大泉洋。兵衛に拾われ、身も心も成長する才蔵役に抜擢されたのは、なにわ男子の長尾謙杜。その才蔵に棒術を教え込む老師に柄本明、民を虐げ、贅沢にふける有力大名・名和好臣には北村一輝、高級遊女にして、男たちの間を漂う絶世の美女・芳王子役を松本若菜が演じる。そして300人もの荒くれ者を抱え、幕府から今日の治安維持と取り締まりを任される悪党一味の首領・骨皮道賢に扮するのは堤真一。兵衛とは悪友であり、宿敵ともなっていく。
圧倒的な剣術の腕前と世直しの野心を湛え、荒廃した時代を泳ぐ自由人・蓮田兵衛。彼はひょんなことから、天涯孤独の身で絶望の中にいたが凄まじい棒術の才能を秘めた青年・才蔵を拾う。汚れた川へと落ち、緑色のボロ服をぐっしょりと濡らした姿を揶揄され、以降、才蔵は「蛙」と呼ばれることとなる。「蛙」から始まった長尾謙杜演じる才蔵の物語は、兵衛や老師(柄本明)との出会い、命を賭けた地獄の棒術の修行、様々戦いを経て、遂には“無敵の棒術”を身に付けた「最強」への成長譚として描かれる。
「いつかヒーローのような役を演じてみたい、アクションにも挑戦してみたいと思っていた」と、才蔵への思い入れを語った長尾。「無邪気さもありますが、どこか肝が据わっていて、ちょっと落ち着きがあるところもある。色々なものに対して本当にまっすぐな気持ちを持っている素直な少年」と役を理解して臨んだ才蔵は、登場シーンは、一見して長尾謙杜本人と判別できないほどに顔や衣服に汚れのメイクを施した仕上がり。しかし、「この映画は、ある意味では“才蔵の成長の物語”だと思います」と主演の大泉が表現するように、物語が進むにつれて、兵衛との出会いをきっかけに心身共に成長を遂げていく才蔵の顔つきと身のこなしが、みるみるうちに変わっていく様は必見だ。
大泉は、「才蔵と長尾くんというのが見事に被る感じがありました。本当に長尾くんがどんどんかっこよくなっていくのが、見ていて痛快でしたね。衣装さん、メイクチームも本当に素晴らしくて、どんどん彼の見た目も変わっていくのだけれど、それに応えて、長尾くんのお芝居も変わっていった」と、役の成長とともに見違えるように精悍な顔つきになる長尾の姿を称えて振り返った。
さらに、最強の棒術を駆使するキャラクターとして、最大難度のアクションを見事にやり遂げた長尾に、アクションにも定評のある名優、骨皮道賢役の堤真一も太鼓判を押す。「(棒などを使った)長もののアクションというのは本当に難しい。彼はとにかく難しいことを何回も何回もやっていた。もう永遠に終わらないんじゃないかなと思うぐらい大変な技をやっていました。しかも鮮やかにやらなきゃいけない。できたからOKではなくて、鮮やかにできて初めてOKになる。足で蹴り上げて棒を持つとか、それだけをやれと言ったらできるかもしれないけれど、流れの中でやるのは簡単に見えてとても難しい」と、ほぼ初めての本格アクションへの挑戦にして、名優をも唸らせる出来栄えにまで自分自身も成長してみせた。
ただならぬ存在感を放つ主人公・蓮田兵衛役の大泉から、「まだ20歳そこそこの長尾くんが、50歳の僕が演じた役の風格をどこか感じさせるように最終的にはなっていた。『すごいな、長尾くんは』と思いましたよ。最初は本当に子供みたいでかわいいのだけど、最後は本当にかっこいいなあと」と、大絶賛の言葉を浴びる才蔵=長尾謙杜。「蛙」として登場してくる始まりから、戦いにおいて向かうところ敵なしの「最強」にまで様変わりしていくその成長譚から目が離せない。
『室町無頼』は2025年1月17日(金)より公開
監督・脚本:入江悠
出演:大泉洋
長尾謙杜、松本若菜
遠藤雄弥、前野朋哉、阿見201、般若、武田梨奈
水澤紳吾、岩永丞威、吉本実憂、土平ドンペイ、稲荷卓央、芹澤興人
中村蒼、矢島健一、三宅弘城
柄本明、北村一輝
堤真一
配給:東映
© 2016 垣根涼介/新潮社 ©2025「室町無頼」製作委員会