『ゆきてかへらぬ』完成披露舞台挨拶 木戸大聖、広瀬すずとの撮影の日々「フィジカルなぶつかり合いだった。プロレスをやっているかのような」

『ゆきてかへらぬ』の完成披露舞台挨拶が1月30日（木）にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、広瀬すず、木戸大聖、岡田将生、根岸吉太郎監督が登壇した。

本作は大正時代を舞台に、実在した男女3人の壮絶な愛と青春を描いた作品。まだ芽の出ない女優、長谷川泰子は、のちに不世出の天才詩人と呼ばれることになる青年、中原中也と出逢う。どこか虚勢を張り合うふたりは、互いに惹かれ、一緒に暮らしはじめる。その後東京に引っ越したふたりの元を、中也の友人で、のちに日本を代表することになる文芸評論家、小林秀雄が訪ねてくる。偶然ともいえるその出逢いが、やがて3人の運命を狂わせていく――。長谷川泰子役を広瀬すずが演じる。『探偵物語』や『ヴィヨンの妻～桜桃とタンポポ～』の根岸吉太郎監督が16年ぶりにメガホンをとり、『ツィゴイネルワイゼン』や『セーラー服と機関銃』の田中陽造が脚本を手掛けた。

大正から昭和初期を舞台にした本作だが、「セリフの言い回しだったり、男女の距離感だったり、全部がとても新鮮」という広瀬は「個々で感じたものを大切にしながら演じている現場だった」と振り返り、そのことから「ビシビシと静かに伝わってくる熱量が心地よかった」と明かした。また、「毎日削りながら生きているような役だった」と自身の役どころについて語った。

実時の人物を演じるということで「プレッシャーもあった」という木戸だが「多彩な方だったので。ローラースケートは僕は全く滑れなかったのでゼロからやらせてもらって、いっぱい転んで」と苦労もあったようで、広瀬とのシーンでは「フィジカルなぶつかり合いだった。プロレスをやっているかのような」と明かすと、広瀬は「何の映画を撮っているんだっけ（と言っていた）。アクションをやっているような」と撮影を振り返った。

一方で、自身の役について「たくさん資料を読ませていただいて、いろんな角度で自分の中に入れていったんですけど、文章からも色気があふれていて。ワンカットでもその色気が出てくれたらいいなと思ってやっている時間があったりして。出ていたらいいなという願望ではある」と振り返った岡田だが、広瀬は「あったよ。あった」、木戸は「ありました」と返し、岡田は「ちょっと待って、言わされてない？」と笑いを誘った。

また、ダンスのシーンでは「私は終始踊っているんですけど、お二人不安そうでしたよね？」という広瀬に、「僕は基本的に遠めのテーブルから眺めているので」という岡田、木戸は「できる具合でいうと（広瀬と岡田の）お二人の間ぐらいというのがあったので、とにかく必死でした」と振り返った。さらに本作ではセットにもこだわりが詰まっており、広瀬は「セットに行ったときに、街じゃんこれと。衝撃的なセットで贅沢だった」と明かした。

【写真・文／編集部】