失われた家族の再生の物語『美晴に傘を』の本編映像が解禁された。

北海道の小さな町の自然を背景に、息子を失った父親と、夫を亡くした妻、そして自閉症の娘が織りなす、失われた家族の再生の物語『美晴に傘を』。劇団牧羊犬を主宰し、短編映画では国内外の数々の賞を受賞してきた渋谷悠の初長編作品である本作は、家族の再生というテーマを新鮮な物語へと昇華させ、魅力的な登場人物たちが観る者を心地よく包み込む。主演には、息子を亡くし後悔の波に溺れる漁師・善次に升毅、言葉少なに圧倒的な存在感を見せつける。障がいを抱える娘を懸命に守ろうとする母・透子の心の機微を田中美里が繊細に演じる。聴覚過敏によって聴こえてくる様々な音を擬音語に変えられる才能を持つ美晴役には『麻希のいる世界』主演の日髙麻鈴が挑んだ。その他、和田聰宏、宮本凜音、上原剛史、井上薫、阿南健治らが脇を固める。

聴覚過敏のある自閉症を持った美晴を通じて家族再生を描いた物語である本作。公開から約1週間が経ち、「美晴を演じた日髙さんの演技がすごい。心が弱ってしまっている人に見てほしい」「とんでもない役者さん!」「ひとつひとつの表情を絶妙に演じていた」などと、美晴役への絶賛の声が絶えない。今回、そんな美晴の“初めてのおでかけシーン”が解禁された。

映像は、守られた世界から一歩でも外の世界に足を踏み出したいと願う美晴があるワンピースを着るシーンから始まる。それは母のお気に入りのワンピースで、美晴にとっても憧れのワンピース。映像からも美晴のドキドキが伝わってきそうだ。そして、美晴の元に妹の凛がやってくると、美晴は恥ずかしそうに何か内緒話をし、二人は大盛り上がりの様子だ。そして、祖父の善次の元に連れられてきた美晴は、勇気を振り絞って「連れて行って欲しいところがあるんです…!」と告げるのだった。色々な音が溢れる外の世界は美晴にとっては苦手な環境であったが、ヘッドホンをどこか自信ありげな表情でつけて車に乗り込む美晴を凛と善次が見送る。

1月25日に行われた公開記念舞台挨拶に、透子役の田中は実際にこのシーンで使用されたワンピースを着て登場したが、美晴役を演じた日髙麻鈴は「あのワンピースは、実際に田中美里さん(母・透子役)の私物のワンピースなんです。そのワンピースを着て美晴は出かけるのですが、実際に田中さんのワンピースを着させていただいたので、私自身もすごく緊張しました。母親がいつも来てる憧れのワンピースを着るこのシーンは、美晴のわくわくや、『一つ大人の女性に自分がなれるんじゃないか』っていう、乙女心みたいなものをすごく象徴してるなと思っていて、すごく大好きなシーンです」と撮影を振り返りながら、このシーンについての思いを明かした。

そして、美晴とはしゃぎながら背中を押してくれる妹・凛にも注目だ。凛役を演じたのは、台詞のある役を演じたのは本作が初めてという宮本凜音。宮本は撮影当時はまだ中学2年生だったというが、本作では母親の関心が姉にばかり向けられる中でも、姉のことを大切に思う妹・凛役をリアルかつ堂々と演じきっており、「とても初めてとは思えない」と升や田中からもお墨付きだ。美晴の初めてのおでかけシーンの続きは、映画で確かめていただきたい。

本編映像

『美晴に傘を』は全国で公開中
脚本・監督:渋谷悠
出演:升毅、田中美里、日髙麻鈴
 和田聰宏、宮本凜音、上原剛史、井上薫、阿南健治
配給:ギグリーボックス
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