『世界征服やめた』の公開記念舞台挨拶が2月8日(土)にヒューマントラストシネマ渋谷で行われ、萩原利久、藤堂日向、井浦新、北村匠海監督が登壇した。

俳優でありアーティストとしても活動し、マルチな才能を発揮する北村匠海が、初めて短編映画の脚本・監督を務めた本作は、独特な言葉のセンスとパフォーマンスで注目をあびながら、2011年6月23日に不慮の事故でこの世を去ったポエトリーラッパー・不可思議/wonderboyの代表的な楽曲の一つである「世界征服やめた」に強く影響を受けた北村が、この楽曲からインスパイアされて脚本を書き下ろし、自らメガホンをとった短編映画。

公開初日を迎え、「自分の手を離れたんだという実感がわいていない状態」という北村監督は「監督として企画から脚本も立ち止まったり、いろんな道を歩んできて今があるからこそ実感がわかない」と俳優としての関わり方との違いを感じている様子だった。

そんな北村が監督をやるきっかけとなったは「小栗旬さん」と明かし、「小学校6年生の時に(小栗が監督を務める)『シュアリー・サムデイ』という映画に出させていただいて。役者が監督をやることのかっこよさだったり。でも、小学6年生だったので深い理由はつけられないんです、かっこよかったという。それが自分の中では大きかったです。いつかはと思っていた」と振り返った。

その北村監督作品に出演するにあたっては「友人として過ごした時間が多い」という藤堂は「いざ匠海が監督をすると話を聞いたときは驚きもあったんですけど、本を見て、“匠海が作った映画”に興味がわいて。僕が出させていただけるとは当時は思わなかったんですけど、この人が作る映画はきっと面白いものになるだろうし、僕が映画に関われることになるのは想像ができなかったんですけど、いざ実現したら幸せなことなのかなと。友人としても役者としても、彼の初監督作品に出演したいと思いました」と思いを語った。

萩原も「共演で出会って友人関係になって、間違いなくその過程があったからこそ出演させてもらった」といい、「僕らの世代のエンターテインメントの最先端にいる人だと前から思っていたんですけど改めて実感しました」と語り、「匠海の行動から広がって今この場に立てているので、さらにさらに尊敬する部分になっています」と語った。

一方で、本作に友情出演“する井浦は「何が友情出演だが僕は分かっていない」と笑いを誘いつつ、ドラマ『にじいろカルテ』(2021)での出会いを振り返り、コロナ禍での映画館の休館などを経て「映画館を応援したい、映画が作りたいという話を撮影の合間にしている中で、思いや情熱を感じていました」と明かし、「匠海くんと時間を過ごす中で、音楽だけじゃなくて様々なカルチャーをどんどん吸収して楽しんで生きている人」と表現し、「ただ好きなだけじゃなくて、敬意がある人。そういう人が生み出していくものは絶対に素敵なものが生まれるんだろうなと当時から感じていて。何か映画を作るんだったら、なんでもいいから関わりたいという話をしていました。僕はスタンバイしていました」と明かした。

井浦の出演については「贅沢なシーンになりました」という北村監督は「出会いから共演するに至り、新さんなら助けてくれるという信頼があって。この3人には絶大な信頼がそれぞれ共演していった中で出会ってきた3人なので。助けていただいた」と感謝を伝えた。

【写真・文/編集部】

『世界征服やめた』は全国で公開中
企画・脚本・監督:北村匠海
出演:萩原利久、藤堂日向、井浦新(友情出演)
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
©『世界征服やめた』製作委員会