『ゆきてかへらぬ』の公開記念舞台挨拶が2月22日(土)にTOHOシネマズ日本橋で行われ、広瀬すず、木戸大聖、岡田将生、主題歌を担当したキタニタツヤ、根岸吉太郎監督が登壇した。

本作は大正時代を舞台に、実在した男女3人の壮絶な愛と青春を描いた作品。まだ芽の出ない女優、長谷川泰子は、のちに不世出の天才詩人と呼ばれることになる青年、中原中也と出逢う。どこか虚勢を張り合うふたりは、互いに惹かれ、一緒に暮らしはじめる。その後東京に引っ越したふたりの元を、中也の友人で、のちに日本を代表することになる文芸評論家、小林秀雄が訪ねてくる。偶然ともいえるその出逢いが、やがて3人の運命を狂わせていく――。長谷川泰子役を広瀬すずが演じる。『探偵物語』や『ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~』の根岸吉太郎監督が16年ぶりにメガホンをとり、『ツィゴイネルワイゼン』や『セーラー服と機関銃』の田中陽造が脚本を手掛けた。

前日21日公開を迎え、見終わったばかりの観客に広瀬が「どうでした?」と問いかけると大きな拍手が送られ、「どんなふうに届くのか、受け取り方もそれぞれ違う気がするので、早く感想が聞きたい」と気になっている様子を見せた。撮影時は「無我夢中でやっていたのが、2年経ってから見て、『こんなシーンあった』という記憶をたどっていくような時間になってしまって」と笑いつつ、「客観的に見れない。みなさんに言ってもらった言葉とか感想で『そういう映画になっていたんだ』と思えることが多い」と明かした。

イベントでは、本作にちなんで“夢中になりすぎて感情的になったエピソード”を披露。「高校生の時にバンドをやっていたのが青春」というキタニだが「僕が曲を作って歌って、結構バンドメンバーに厳しく熱血に当たった結果、安定したメンバーに巡り合うことができず、今こうして一人で」と笑いを誘った。

続く岡田は「高校3年生の卒業する直前に、軽音部がライブをするといって。音楽を触ってもいなかったのにメンバーに入ったんです」と振り返り、「ドラムを無我夢中に練習していたんです。当日ギリギリまで一生懸命練習していたんですけど、1曲目で足がつってしまって叩けなくなってしまって悲しくなった思い出があります(笑)」と明かすと、広瀬が「素晴らしいエピソード持ってるじゃん」と返すなど会場を沸かせた。

「10代のころに初めてドラマの主演をやらせていただいて」という広瀬は、セリフ量が多いことからプロデューサーとの打ち合わせでスピーチを行う日々だったようで「打ち合わせを毎日2~3時間して。最終的に熱が入りすぎて、自分が1人で戦う回のスピーチの日に1人にして“自分でがんばれ”というプロデューサーのメッセージではあったらしいんですけど、急に1人にされて大げんかした(笑)」と振り返った。

そんな中で「オンラインゲームをするんですけど、ボイスチャットがあってオンにしてやったりするんです」という木戸は「たまたま小学生の子と一緒にゲームをやることがあって、最初はお兄さんのように話しかけてくれたんですけど、僕のせいで2人ともゲームオーバーになってしまって、無茶苦茶怒られて。ここ最近そこまで怒られることがなかったから、僕が感情的になったというより、ごめんなさいと…」と明かし、会場を笑いに包まれた。

【写真・文/編集部】

『ゆきてかへらぬ』は全国で公開中
監督:根岸吉太郎
出演:広瀬すず、木戸大聖、岡田将生、田中俊介、トータス松本、瀧内公美、草刈民代、カトウシンスケ、藤間爽子、柄本佑
配給:キノフィルムズ
©2025 映画「ゆきてかへらぬ」製作委員会