『ウィキッド ふたりの魔女』衣装に隠されたこだわりとは？

アカデミー賞2部門を受賞し、3月7日（金）に日本公開が迫る本作の魅力を紹介。今回はアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞した本作の衣装を特集していく。

監督はキラキラした世界観とコメディタッチが魅力の恋愛映画『クレイジー・リッチ！』やブロードウェイ・ミュージカルを見事に映画化し、トニー賞、グラミー賞を受賞した『イン・ザ・ハイツ』のジョン・M・チュウが務める。本作は、日本でも多くのファンに支持されているミュージカル劇「ウィキッド」が原作となっており、ミュージカルでは描き切れない、シズ大学やエメラルドシティが目の前に広がり原作へのリスペクトが散りばめられている。本作は2部構成となっており、1作目が本作『ウィキッドふたりの魔女』、2作目は2025年11月21日に世界初公開を予定している（日本公開未定）。

衣装デザイナー

『ウエスト・サイド・ストーリー』や『ハミルトン』の衣装デザイナーを務めたポール・タゼウェルが、ミュージカル劇で定着している本作のイメージを崩さず、現代的な魅力も詰め込んだ衣装を作り上げている。コスチューム、仕立、刺繍などあらゆる工程の細部までこだわっている衣装には約150名の匠が関わっているという。

物語と共に魅力が増していくエルファバの衣装

パワフルで孤独の中でも自分を曲げない強さを持ち合わせている彼女の魅力が、物語を通して強くなっていく。衣装にも少しずつその様子が反映されているが、そこにはエルファバを演じるシンシア・エリヴォの意見も欠かせなかったという。シズ大学での登場シーンの衣装は全身ブラックの肩パットが入ったかっちりとしたスーツワンピースで近寄りがたい印象を持たせている。また、制服はシーンにより少しずつ異なり、パフスリーブのシャツやジャケットを大人ルックに着こなし、ヘアスタイルも三つ編みなどグリンダとは対照的に真面目な印象を持つ。そして、"ウィキッド"の象徴的な帽子はグリンダの祖母が作ったものを、ちょっとしたいたずら心でエルファバに贈ったものとなっているが、二人の絆が生まれる大切なシーンでありアイテムとなっている。

あらゆる"ピンク色"に囲まれるグリンダ

グリンダの衣装は彼女のトレードマークでもあるピンク系をはじめ、ラベンダー系といったシャボン玉を思わせるような色味で浮かび上がらせているという。シズ大学入学のシーンではピンクのスカートスーツに同カラーでリボンのようなファシネーターを被りグリンダらしさを詰め込んだ衣装で登場する。また、彼女はフリルの襟をよく着用し、かわいさの中にもエレガントさを表しているように感じさせる。シーンごとに同じ柄でも少しずつ衣装が異なっており、「ワット・イズ・ディス・フィーリング？」の初めのシーンでは蝶々をあしらったブラウスに後ろがフリルになったハイウェストスカートだが、シーンが変わるとピンクのブラウスにスカートのスリットからプリーツが見えるスタイルに変わっている。

そして、「ポピュラー」では肩に大きなお花のようなレースをふんだんに使用したネグリジェでエルファバを変身させようと奮闘し、自信に溢れた様子を表現している。一瞬だけ映るドレスや靴にもレースや花、蝶、ラメが施されているのも注目ポイントとなっている。

個性的なスクールファッションの魅力

生徒の衣装は少しずつデザインが異なり「ワット・イズ・ディス・フィーリング？」や「ダンシング・スルー・ライフ」のシーンでは食堂や図書館で繰り広げられるダンスシーンの躍動感を強調している。また、グリンダの取り巻きのファニーとシェンシェンの衣装には彼女への憧れが反映されており、例えばファニーのジャケットの襟には少しピンクが施され、シェンシェンのブラウスにはグリンダと同じフリルの襟になっている。それぞれの個性がある生徒たちの衣装にもぜひ注目してほしい。