ポン・ジュノ監督最新作『ミッキー17』の本編映像が解禁された。
映画『パラサイト 半地下の家族』(2019)で第72回カンヌ国際映画祭では韓国映画初となるパルム・ドールを受賞、第92回アカデミー賞®では作品賞を含む6部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、脚本賞、国際⻑編映画賞の最多4部門を受賞し、日本でも観客動員数330万人超、興行収入45億5,000万円を突破する空前の大ヒットとなるなど、常に社会問題を織り込み、極限状態の人間の本質を鋭く描き、誰も見たことがない“エンターテインメント”を送り続けるポン・ジュノ。歴史を塗り替えた稀代の映像作家ポン・ジュノが、5年の沈黙を経て贈るアカデミー賞®受賞後初となる最新作『ミッキー17』は、半地下を超えた《どん底》の使い捨てワーカー“ミッキー”による、権力者たちへの逆襲エンターテイメント。原作はエドワード・アシュトンによる小説「ミッキー7」(早川書房)。
今回初解禁された本編映像は、ロバート・パティンソンが演じるミッキーが、本作に登場する“謎のモンスター”=“クリーパー”に引きずられているシーン。「ここはどこだ? 何が起きた? なぜ俺を食べない? 気絶してたのに…」と戸惑うミッキーは、自分を引きずる大きなクリーパーの背中を見つめる。「そうか、子どもに食べさせる気だな。優しいママだ」とクリーパー心中を読もうとするミッキーに小さなクリーパー近寄ってくる。顔中をなめられ、手袋をくわえら、観念したかのように目をつむると「早いとこ終わらせてくれ、ほらガブリとかじれよ」と覚悟を決める。だが、クリーパーは一向に食らいつくそぶりを見せずにどんどん進んで行く。「どこに連れて行くんだ?」と困惑するミッキーを、大クリーパーが尻尾を巧みに使って引き上げると、中小のクリーパーが総かがりで雪原に押し出す。ミッキーは「リプリントされた肉はまずいか? おい、俺はおいしいぞ、新鮮な肉だ、味は保証する」と叫ぶ。すると、大中小と3種類の大きさの異なるクリーパーがそろってミッキーを見つめ…。
本日3月17日(月)は公開まで残すところあとわずかの「ミッキー”17”の日」ということで、“謎のモンスター”が登場する本編映像の初解禁に合わせて、ポン・ジュノ監督が日本だけの取材に応じた特別コメントが到着した。『ミッキー17』の劇中で“クリーパー”と呼ばれる謎のモンスターは、その見た目から『風の谷のナウシカ』(1984)に登場する“王蟲(オ-ム)”を彷彿させる。宮崎駿監督からの影響をポン・ジュノ監督に直撃すると、「『Okja/オクジャ』(2017)のときも、主人公のミジャがオクジャのお腹の上で昼寝をするシーンがありましたが、あれはまさに『となりのトトロ』(1988)からインスピレーションを受けたシーンでした」と前置きし、「クリーパーはもう少し複雑で、様々なインスピレーションが混在しています。デザインそのものは、クロワッサンから着想を得たもので、パンが出発点です。動きに関しては、様々なアイディアが組み合わさっています」と続ける。「クリーパーは三種類ですが、ジュニアクリーパー、ベイビークリーパー、そして女王蜂のように一匹だけのママクリーパーがいます」と、大中小3種類存在すると説明する。
「ジュニアクリーパーがボールのように丸まっていく動きが登場します。それはアルマジロを参考にしています。出来上がったものを見て、ダンゴムシのようだと言う方もいましたが…」と微笑むと、宮崎駿監督作の「『風の谷のナウシカ』で王蟲が群れになって突進するシーンも、インスピレーションの源だったと言えます」と告白!さらに、「クリーパーが群れになって絡み合う姿は、アラスカのトナカイの動きのパターンがモチーフとなっています。動物ドキュメンタリーを見ると出てきます。サークルの中心部分に子供のトナカイを置いて、群れが時計の反対周りにらせん状を描いていく荘厳でスペクタクルな映像があります」と、クリーパーが宮崎駿監督作品のみならず、食べ物から、動物まで、ありとあらゆるものからインスピレーションを受けて完成したキャラクターだと語った。
そして「宮崎駿監督はいつも生態系や自然、環境に対するテーマを描かれていますが、私も大きな関心を持っているテーマですので、動物やクリーチャーを表現する際には、宮崎駿監督の作品は尽きないインスピレーションの源になっていると思います」と、宮崎監督の表現には常に影響を受け続けていると語っている。
さらにロンドンで行われたワールドプレミアで主演のロバート・パティンンがアニメを参考にしてミッキーの役作りを進めたと語ったことについて、「ロバート・パティンソンはアニメをたくさん見ているようで、マニアックな性格ですね」と笑いながら、クリーパーのアクションについて教えてくれた。「先ほど3つのクリーパーについてお話しましたが、その中でアクションを担当しているのは、ダイナミックに飛び跳ねながらアルマジロのように群れになって動くジュニアクリーパーです。すべてのクリーパーが、ウルレーションと呼ばれる直立して鳴き声を発する姿を見ると、多くの脚があることが分かります。複数の脚を持つ生物は、走るときにとても不思議な動きをします。リズムが妙なんです。専門用語ではウォークサイクルといいますが、これを作るのが、クリーチャーを表現する上で最も重要な基本です。ジュニアクリーパーが勢いよく走るとき、ウォークサイクルをどうするべきか。短い脚がいくつもあって、それらを走らせなければなりません。レファレンス先を探している中、CGチームのほうから『となりのトトロ』に出てくるネコバスのアイディアが出ました。あのネコは足が4本ではなく、何本もあるんです。『となりのトトロ』ではその足が絶妙なリズムで動く様子が見事に描写されています」と、『ミッキー17』のCGチームは、全世界で愛される『となりのトトロ』を参考にクリーパーの造形、そしてその独特の動きを作り上げたと語っている。
これまで予告映像にもその姿は映し出されていたものの、謎に包まれ続けていた謎のモンスター”クリーパー”、ミッキーの前に突如として現れる彼らの目的とは?スタジオジブリ作品多大なる影響を受けた、クリーパーの姿に注目いただくとともに、彼らがミッキーの逆襲にどのように関わってくるのか、注目してみていただきたい。
本編映像
『ミッキー17』は2025年3月28日(金)より全国で公開
監督・脚本:ポン・ジュノ
出演:ロバート・パティンソン、ナオミ・アッキー、スティーブン・ユアン、トニ・コレット、マーク・ラファロ
配給:ワーナー・ブラザース映画
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