ナイトクローラー

レビュー

『ナイトクローラー』

夜のL.A.を駆け巡る狂気―。

報道スクープ専門のパパラッチのことを通称ナイトクローラーと呼ばれる仕事があるらしい。本作ではL.A.を舞台に彼らの活躍をひたすら追いかけ映し出している。ダン・ギルロイ監督はその存在を知った時に本作のインスピレーションを得て、初監督作品としてこの脚本を映像化した。それほどまでに興味を誘うものがあったのだろう。

主人公ルーことルイス・ブルームを演じるのはジェイク・ギレンホール。他にもキャラの濃い登場人物が多数いるのだか、完全にルーを中心に回っている。ルーは初めから奇妙な人物ではあるが、気がつくと笑顔の裏に狂気が見え隠れする危険な人物となる。 ハイエナのように、というよりもハイエナすらも逃げてしまうような強烈なインパクトがある。そのルーに雇われるリック(リズ・アーメッド)はひたすら振り回される。何も知らない少年のようなイメージのリックは、まさにルーに引きずり込まれていく。さらに突然売り込んできた若者を高く評価するテレビ・ディレクターのニーナ(レネ・ルッソ)。全てが揃ったルーはさらに闇の世界へ突っ走る。爽快なほどに凄まじい勢いだ。猛スピードで走る真っ赤な車と同じく、誰にも止められないルーはさらに調子を上げていく。もはや目を合わせるのも恐ろしい表情だ。

本作では常にL.A.の街が映されている。L.A.のあちらこちらを駆け巡るわけだが、非常にキレイな街並みだ。そこをハイエナのように走り回るナイトクローラーは、街にとって悪のような存在に映る。夜の街は自分のものだと言わんばかりに、真っ赤な車で走り回るルーは作品の冒頭で職探しをしていた彼とは別人のような勢いがある。その彼が常に刺激を求めた結果、引き起こすとんでもない惨劇からは思わず目を背けたくなるほどだ。

(text:編集部)

『ナイトクローラー』
(原題:Nightcrawler)
2015年8月22日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテほか全国で順次公開
アメリカ/2014年/118分
監督・脚本:ダン・ギルロイ
出演:ジェイク・ギレンホール、レネ・ルッソ、リズ・アーメッド、ビル・パクストン

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