『ファミリー・ジャンブル』レビュー

 長編部門(国際コンペティション)
 『ファミリー・ジャンブル』
【SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2016】『ファミリー・ジャンブル』

【SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2016】『ファミリー・ジャンブル』 (1)
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主人公の少年マルティーノは仲の良い両親と暮らしているが、中学校に入ると同級生の親は離婚している家庭ばかり。さらにそれらの家庭では子どもの気を引こうとプレゼント合戦が繰り広げられていた。最新のスマホが欲しいマルティーノが考えた作戦とは―。イタリア出身のマックス・ナルダリ監督が長編2作目に選んだのが、このコメディ要素満載のファミリードラマ。

中学生になりたてのマルティーノにとって、突然やってきた周囲の環境の変化へのショックも重なり、余計に疎外感を感じたのかもしれない。マルティーノはクラスメイトの気になる女の子からアドバイスをもらい、ただ「最新のスマホが欲しい」という理由で、仲の良い両親を離婚させようとするのだが、それが大問題へと発展する流れがコミカルで愉快だ。「離婚が普通」という前提で成り立っている本作だが、マルティーノが通う学校は少し裕福な子どもが通うインターナショナルスクール。恐らく何らかの事情で離婚することになってしまった家庭が多いのかもしれない。

本作で描かれているのは「本当の幸せとは何か」という永遠のテーマとも言えるもの。マルティーノにとっての幸せとは「最新のスマホを手に入れること」だが、両親にとっての幸せがなかなか伝わってこない。それはこの両親に限らず言えることかもしれないが、本人も何が幸せなのか分かっていないのではないだろうか。本作では、その疑問に対してある答えを与えている。遠くイタリアの話ではあるが、日本人から観ても同じように共感できる部分は多いし、この映画がきっかけで「本当の幸せ」を見つけてみてはいかがだろうか。

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